若者が揮発性の高いコミュニケーションメディアを好むという話がある。また、FacebookにせよTwitterにせよあたったサービスがあまりストック性を目指してないという話がある。
それに対して、Googleプラットフォームでうまくやりたいと思ってる人たちは検索エンジンと仲良くなることで得られるストック性を活用して、揮発性の高いニーズに対してコンテンツを押しこみたいと思っている。
僕が作ってるShopcard.meは、極端な揮発性コミュニケーション寄りだ。アプリケーションは「好きなお店の情報や体験をストックする」機能が中心になっているが、その情報のアウトプットは、「友達とお店の情報を共有する時に使って欲しい」というリアルなコミュニケーションでの活用に主眼を置いている。ショップカードをQRコードやBluetoothによるShurikenで交換した後からは、お互いShopcard.me上でメッセージを送れるというネット上でのコミュニケーションを意図した機能を用意しているが、まだそれが活用されるのはまだ先の話だ。
理想を言えば、Shopcard.meでカード情報を送る時にLINEで共有できるので、LINE IDを教えあう口実に使って欲しいし、Shopcard.meを活用して、飲み屋で出会った女の子と仲良くなる時にリア充が使うサービスになってほしいと思っている。
しかし現状においてはまだアーリーアダプターを如何につかむかというフェーズ。正直、ソーシャル連携要素をミニマムにしてるのでネットサービスとしては相当大変だ。もしかしたら、なんでこんなことを思いついちゃったんだろうというレベルなのかもしれない。(諦めませんよ)
それはさておきとして、揮発性の高いサービスを活用する若いユーザーが意識しているかしないかはわからないが、ストックで固められた情報優位性は、必ず後発になる若者やレイトマジョリティには不利だ。
例えばkloutスコアに現れるようなフォロワ数のような指標、いいねの数などは後発から参入する「普通の人」たちには「絶対、逆転できない壁」にしか見えないだろう。それだとユーザエクスペリエンスが分断されすぎてあまり良いサービスにならない。Twitterは、そこに芸能人や大企業経営者や企業、メディアがハマったことで、現実の情報の流れを投影したところにユーザーにとって受け入れやすい勝機があったのかもしれない。しかし、フォロワが少ない人のツイートが注目されることはほんとどない。たまに起こる奇跡のような写真以外だと、パクリツイートや炎上写真などの変わったことをやらないと目立てないという世界がそこにはある。
アーリーアダプターやネットマニアが優位になる指標は、後発のユーザーを一般ユーザーと定義づけるのであれば、サービスにとって必ずしも重要視してはいけないパラメータではないかと思う。しかしアーリーアダプターにサービスを盛り上げてもらうには、ゲーミフィケーション要素としてストック性のある成果を用意するのは見逃せない。
しかし、「普通の人」の方が圧倒的に多いモバイルファーストの世界では、何かの瞬発力によって自分の楽しみが加速する世界のほうがスケーラブルな盛り上がりを見せるのではないかと思う。それに学生は社会人よりは時間が多くあるので、そこでの「暇つぶし」を活用し「その場限りの揮発性のコミュニケーション」に振り向かせるサービスが、より多く使われていく傾向にあるようだ。パーソナル情報が残るや否やということ以前に、単純に今をどう過ごすか、のほうが重要ということではないだろうか。
盆栽を地道に育てて眺めるのが究極のストックコンテンツだとするならば、若いうちは、そんなことに関心を持たず、「今」が大事。そこでの活動が短期的に成果としてのストックに結びつくサービスが楽しいと思う。
揮発性の高いコミュニケーションが一度回り始めたサービスは強い。回り始める理由に再現性がないことが多いからだ。何故、そこでコミュニケーションが成立するか?!という壁を他社が乗り越えるのが難しい。これをネットワーク効果と呼ぶとすると、何がネットワークなのか?!というと、揮発性のコミュニケーションを行うために必要な人間関係(リアル、バーチャルに限らない)が構築されることがストックになっているからなのだと思う。
結局、どういうサービスにせよ、データベースを活用するシステムである以上、「何かをストックして」「何のフロー情報」を作り出すのか?!という2つのバランスが成立しないとサービスはうまく回らない。その入口がGoogle検索ワードなのか、プラットフォーム上で行われる人と人とのコミュニケーションや遊びなのか、C2Cのオークションなのか、という設計はいろいろあると思うが。
よくブログを書き続けてアクセスが増えるという話があるが、検索されない記事を書いても全く意味が無いわけで、あくまでも検索エンジンで検索される記事を書かないことには、という前提がつく。つまりストックをマネタイズするのはフローだ。
ブロガーキャンペーンが難しいのは、フローが発生する見通しがないのにやっちゃうからだろうし、ブログプラットフォームが儲からないのは、(日記のような)質の低いストック一辺倒で、ユーザー間のフローが発生しにくい仕組みだったからで、アーリーな頃のブログが楽しかったのはブログアグリゲーションサイトを通じたコミュニケーションが実体だった。そこにあったのは「ネット好き同士のつながり」。今は、いつ何がブレイクするかわからないものに関しては、とにかく記事を書いおいて、早めに検索上位を取っておけという話にもなるだろう。なにせ今はGunosyとソーシャルメディアのコンボがある。
ネオヒルズ族が儲かってるそうだが、自分の目の前にはほとんど情報が流れてこないので、実体がよくわからないのだが、しかるべきcustomerには情報が流れる筋道を抑えているからアフィリエイトや情報商材で儲かるんだろう。
ストックを生かすというのは、結局、近い将来起こるフローに対して投資をしておくということなのだと思う。ストックが儲かるのではなく、結果として発生するフローが、自社の資産(ストック)に対してレバレッジが効くサービスが儲かるというのは間違いないわけで。ソーシャルゲームみたいにフローを自分たちで生み出すエンジンを持てればなおさらのことだし、アプリの場合はサーバが不要なら運営コストかからないし。
あれ?!なんかつまらない結論になってる?!
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