最近、ずっと考えてることとして、CTOの役割定義は大切かなと。
IVS CTO Night & day 2018のイベント中で「CTOという肩書はラベルか?」という示唆的な話が出てきていました。
この指摘がイベント中になされたのは、なんどもこのイベントに参加している僕が知ってる限り初めてで、会社のステージの変化に対して、CTOという役割認識においてもフェーズが変化してきたのを感じています。これは言葉を返すと「ラベルだけの存在になるとCTOはいらないかもしれない」という指摘で、組織構造がどんどん変わっていく上で、どういう裁量、責任を持ち続けるのか?を設計しておくことが重要であると考えます。
CTOのイグジットマネジメントや、急に組織が拡大した時に歪を及ぼさない形で組織をスケールさせたい時、はたまたCTOの肩書に流動性をもたせるにあたっても、この辺の考え方をしっかり持っておくのは必要かなと。
この基準において、社内で話をしていて出てきた良い指摘がありまして、
時間軸に対する視野の置き方で役割を決めるべきなのではないか?
という切り分け方はとてもよいなと思いました。
例えば、こんなイメージ
・1年先を見た技術ビジョンを描き、かつ、リスク管理の視野から技術基盤などを作り上げるマネジメントの役割をCTOとする。今起きているスケーラビリティやセキュリティ等のトラブルはCTOが瑕疵対応としてどうにかする。
・「今やらなきゃいけない問題」を取り回すのがVPoE。CTOが描いたビジョンと事業計画を睨み、エンジニアリングマネージャの上司として実現責任を持ち組織マネジメントを行う。Q単位の事業OKRの実現責任を担うのはこの人。
・5年後はR&D。CTOがR&Dチームを指揮するのはよいが、これだけの役割になると経営側CTOとしては赤信号。5年先の責任は曖昧なので、いつでも辞められる状態とも言える。テックベンチャーのM&Aや投資担当も兼ねるならアリか。
一例としては、こんな感じの分担になるのでしょうかね。あとはなにげに難しいのが、「看板としての役割」を誰がやるのかというのはありますね。本来は技術マネジメントの視野と看板としての役割は求められるスキルは全然違う一方で、さすがに「看板だけ」ってのではとてもマズイわけです。
技術ビジョンと言っても業種によっては広いので、何をコアコンピタンスにするか?によっては、CTOもVPoEも数人いてもいいかもしれないわけですが、その辺からそもそもCTOいるの?みたいな話になっていく可能性はまあ高いわけですね(それはホールディングス化、分社化のチャンスかもしれませんね)
役割分担をしたはいいけど、ふと気がついてみたら、やることがなくなって、まるで代表権を持たない会長のように権限がなくなるというのでは困ってしまいます。役割を分担したのであれば、その分、組織のスケーラビリティはあげていくことが望ましいわけで、そこでの裁量 / 責任も分担していく必要があり、その一つの視点が、実現の時間軸ということになるのかなと。
某社さんのように海外進出がCTOの役割で、国内はCPOが見る分担もあるのでしょうね。経営としての技術プライオリティがそこにあるということだと思います。その場合はVPoEの責任範囲は組織主体ということなのでしょうかね。なにげにVPoEがフィクサー感を感じていて、現場感的に一番重要なのはVPoEなのではないか?とさえ考えていたりします。
あと、このような役割分担や認識においては、会社の部下からの期待をどうコントロールするかは重要です。それこそCTOが窓際上司みたいに見えてはいけないし、理解可能な視野に落とし込んで、ちゃんと説明することも必要ですが、案外そういうのができてないケースはあるかもしれないです。象徴となる創業CTOがいるせいで、役割分担されたVPoEが辛かったりするケースもありますので、役割において何を期待されるべきかという社内ブランディングは、ご注意を。
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