平成最後のWebSig会議の話

昨日はひさしぶりにWebSig会議やりました。1年ぶりの開催で、もう37回になるイベントです。

WebSig会議Vol.37~WebSigが振り返る平成とインターネット。次の時代を考える。

■開催概要
WebSig24/7が「インターネット/ウェブの健全な発展を促す」という設立趣意から活動を開始して14年。

平成の元号が終わる最後の年末。平成という時代におけるインターネットとはどういうことだったのか、次の時代へ進むための課題をどのように考えているのか、課題を解決、アップデートするためにはどうしたらいいのかを考えたいと思います。

テーマは、WebSigモデレーターがここ数年クローズドMTGで話し合ってきた、インターネットと社会、インターネットの次に来るもの、時代とテクノロジーなど。広く社会の話から、Web受託、サービスなどのミクロまで幅広く扱いたいと思っています。

今回は、Web黎明期から現役で20年近く、ビジネスでコミュニティでインターネットに関わってきたWebSigモデレーターが中心でディスカッションを進め、場合により参加者の皆さんもMC采配で参加していただくようなスタイルを考えています。(聞くだけでももちろん構いません)

一般参加定員で20名程度の小規模、WebSigモデレーターがパネラーとして、公開パネルディスカッションのようなざっくばらんなイベントなので参加費も無料です。お久しぶりな方もぜひこの機会に次の時代を考えてみませんか?
WebSig会議後は会場を移して、平成最後の、そして、どこよりも早い忘年会を開催します。

1年ぶりにイベントはやりましたが、一応、モデレータ陣は隔週では集まっていて、いろんな議論をしながら盛り上がってきたらイベントをやるというスタイルでゆるゆる続けています。

最近のWebSigは代表の和田さんが盛り上がったネタを中心に広げていくので、その閾値を超えるかどうかが鍵です。和田さんは筑波大学出身で、同じ筑波で活躍されている落合陽一さんの本に感銘を受けていて、そういう視野を下地にした議論が多かったりします。

その中で、昨日のイベントととしては、コアについては触れきれなかったテーマとして、インターネットは資本主義の代替となる世界を作るのか?について考えていました。

ある意味、インターネット黎明期にあった期待というのは、そうですね、今、ブロックチェーンで語られるような社会変革に近いものがあったと思います。そこから20年、インターネットはビジネスとして成長しましたが、当時考えていた、ユートピア的な世界で、人間そのものが賢くなる世界というのは実現したのでしょうか?

むしろネットを生業にするスタートアップは生き残るために、人間のニーズに寄り添い、特定の領域を加速するUXを作ることで、人間のよくない部分をも余計にインターネットで際立たせてしまう方に最適化しなければ生き残れなかった。それがtwitterでの炎上をはじめ、フェイクニュースなどを通じて、民主主義の政治そのものも動かそうとしています。

しかし、経済的には大富豪も生まれ大企業も生まれました。結果的に平成においては資本主義の大勝利だったという議論をしています。

その要因のいくつかには、まだまだインターネットそのものが黎明期であるという仮説を立てています。

これまでの歴史の中で、時代の変革が完了するのは50年ぐらいの遅れが発生するという話で、平成の30年がそのまま当てはまってしまうのではないか?というのが和田さんの意見だったと思います。

そして、今後の変化なのですが、僕はAIの発達によるパーソナライズの進化だと思っています。

ここからは僕の妄想なのですが、

<妄想>
今のパーソナライズはサーバサイド側に大量のビッグデータが存在しており、ユーザ一人ひとりのために多大なリソースを使って計算をし続けています。このコンピューティングリソースは、現時点においても大変です。まず情報を集めてくるフェーズ、それを計算しやすいように加工するフェーズ、そして、それを適切に集計するモデルそのもの、そして計算をする部分。

これらのすべてのプロセスは、そもそもどこからデータを持ってきて、モデルそのものが、それに対してどこまで適応可能か?が正しく連携していなければ、結果としてのアウトプットは正しいものになりません。

いわゆるデータベースレベルのビックデータの魅力はスキーマレスとして、後からデータ構造が変わってもそれほど問題なく取り込むことができるのがビッグデータを実現する実装の一つとして存在していたハズですが、それを活かす側は、まだまだモデルとしてしっかり設計されていなければ活用することはできません。それでは世界の変化に対して柔軟に適応するのは難しく、こういうのを、よしなに計算できるようにすることをシンギュラリティと言うのかもしれないです。(誤解してたらごめんなさい)

このような情報収集、モデルの進化、そして計算が、今のスマホのアプリのようにクライアントサイドで行われるのが未来のあるべき姿で、自分を匿名の状態で、P2P的にエージェントとなるスマホみたいなデバイスが常に情報収集とフィルタリングを行います。その結果、人間の「What do you want?」を匿名的にコンピュータ同士で事前取引を行い、その結果を、ユーザーに提示するようなイメージです。

今はGoogle検索エンジンやマッチングサイトを人間の意思で情報検索することで何かの意思が伝達されます。検索エンジンの検索キーワードには、人間の意思が載っています。これの問題点は、なんにせよ人間の体力や精神力やキーワード、意思の強さに依存してしまうことです。これを機械同士で代替します。それがAIエージェントの未来です。

例えば転職したいというニーズが機械の方で想定され、そうするとその人の行動履歴を元に適切なスキルマッチをして、かつ転職先のクライアントと通信し、事前の初期マッチングを行います。それで面接する価値がありそうかを判定して、その結果を提示します。

同じくお腹が空いたら、健康状態、食べたいもの、食べたほうがよいものなどを、これまでのデータベースを元に自動的にマッチングします。そして近いお店、車で行けるお店、記念日だったらレストランなど適切であろうお店を、開店時間や予約状況、混雑度などを加味して、その人の性格にあうであろうお店を提案してくれます。

このような情報は、スタティックなデータベースだけで構成されるのではなく、先方の情報とこちらのwantを適切にマッチングさせるのですが、それを自動的にあらゆるノード間で自動的に行われます。

このようなことは、アドネットワークのDSP、SSPなどではすでに行われているのかもしれませんが、入札額などのわかりやすい比較指標から、もっと抽象化された人間の「I want to do this」を事前にマッチングして提案するようなエージェントがスマートフォンのようなデバイスで動くことを期待します。

</妄想>
妄想終わり

などというのが、僕の理想の未来像なのですが、こういうのはシンギュラリティに任せるよね、とか素晴らしいAIが出たら良いよねという希望的観測にしかならず、そういう概念をイベントの結論にするのはマジいけてないなと思ってたんですよね。

少なくとも自分が何かを作ってるわけでもなく、現時点におけるアプローチが一切ないのに、登壇者として妄想を垂れ流すのはマズイし結論として他人任せすぎて嫌だなと。

そうしたら、イベント中に行われたLTで、アルファサードの野田さんがすごい面白いものを発表してくれました。

つたえるウェブ

これはWeb Accesibilityの延長で、日本語をわかりやすい日本語に変換するエンジンです。

訪日外国人が日本語を理解するのがとても難解で、日本語検定で理解可能な日本語に、日本語の方を変換してしまうというアイディアから生まれたそうです。

日本語読み上げ技術がいくら発展しても日本語そのものが難解なのであれば理解はできません。その部分を機械学習による仕組みを使って自動的に変換してしまおう、と。

この取組自身はビジネスを思考してやったというよりは、誰もやってないから自分でやって、社長自身が開発を行い、文書解析に必要な辞書データも数万語の辞書を野田社長が自分で入力しているというなにげに大作です。

おそらくWebSig代表の和田さんの抱いてる未来というのは、こういう取り組みの積み重ねなのだなと。

市場の原理に委ねるスタートアップのビジネスも大切ですが、そのミドルウエア層を担うOSSは別に必ずともビジネスを指向して作ったものではないはずです。OSSのライブラリ一つ一つは、何かの問題解決を指向してメンテナンスされているものがほとんどで、その結果としての何かがあって、それをエコシステムと呼ぶのかもしれないし、使命感でやっている人もいるでしょう。ただ、単純にサステナビリティを実現しようとするならば、それ自身が経済活動に直結しないと生きていけないのが資本主義の世界なので、そこには乗ってると理想ですね、と。

ただ、野田さんのような「カッとなってやった」みたいな取り組み一つ一つが社会を変えていくレイヤーを成すのだと思います。

そういう意味で僕が思っていた妄想の入り口みたいなものを野田さんがやられていたのは、凄いリスペクトだし、このイベントで発表してくれたのは、完全に符号していたと思うので、たぶん、イベントやってよかったなぁ、と思ったのでした。

その他、会場での議論として発言してくれたり、LTしてくれた人たちも、現状の問題点を浮かび上がらせる貴重な意見が多く、なぜか偶然、すべての要素がかみ合ったんじゃないかなと思える奇跡的なイベントだったように思えます。

野田さんの活動を見ていて、僕も頑張らないとなぁと思えたことが最高に大きなメリットでした。

また来年も続けていけるといいですね。今回、新しく参加してくれた人もいたし、古くからWebSigに顔出してくれている人たちも来てくれました。また来年もWebSigモデレータ陣の妄想をベースとしたイベントなどを通じて、お付き合いいただけると幸いです。

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