自分は、オンラインを通じたテキストコミュニケーションの断絶経験は、かなり長いです。言った言わない、書いてあることが読めない、読まない、伝わらない、受け止められない、感情的に受け止めたくないなどの理由でのオンラインでのトラブル経験をさんざん見てきて、もはや30年選手に差し掛かろうとしています。
基本的にネットはミスコミュニケーションの集合体です。別にミスコミュニケーションでもいいから、好きにテキストメッセージを投げあえるよにしちゃって受け手責任にしちゃえよってのがtwitterだったりして、人をコンテンツ化することで、コミュニケーションロスをあえて逆手に取ったWebサービスもヒットしています。
mixiのあしあと疲れ、既読スルーなどで言われるLINE疲れなどに代表される、人間同士のコミュニケーションを可視化させたり同期させるのは、時に相手によっては疲れます。
それに対してTwitterは、発言者をツイートという敷居の低い情報発信手段でコンテンツ放送局にさせて、フォローという機能で受け手にコンテンツ選択の権利を渡すことで、「いやならアンフォロー」「うざいならブロック」というコンテンツ配信制御を通じて発言者側の自由度、優位性を高めて情報発信数を飛躍的に伸ばしたのがサービスがスケールした肝です。(それでも最近はいろいろ起きていますが)
Twitterの一派生サービスだったfriendfeedを買収してタイムラインを実装したFacebookや、写真版Twitterとして大成功したInstagramもこの流れを受け継いでいます。
同じく、今のタイムライン型チャットツールはこの影響を受けています。だから既読は表示されないし、発言は流れていくわけです。どんなシステムも発信者が何も行動しなければサービスは成功しません。だから不完全なコミュニケーションでも行動を促す形でスケールする方法を取らざるを得ません。それ故にメッセージを見落としたらもうそれでさよなら、というのがタイムライン型のコミュニケーションの特徴。Slackチャンネル上にいる誰が見たか、そして、誰が見ていないかは公開されてはいません。それこそが利用者が気軽に情報発信できる理由なのです。
このようにTwitterと同じ弱点も持つSlackなどのチャットツールが仕事に入ってしまっているので、余計にテキストコミュニケーションによる限界を理解してない人たちが、行き違いを起こしたり、テキストに傷ついて人間関係に影響が出たりと、実社会において、よくない影響が出ています。
よく「オンラインでは議論してはいけない」などと言われますが、情報の共有には使えても、正しい意思の共有には「面倒くさい」「ややこしい」というのがテキストコミュニケーションの特徴です。面倒くさいものはネットサービスとしてヒットしませんから、その部分をバッサリ切ったものが、TwitterでありSlackであるんだということをしっかり理解してツールを使う必要があります。
前置きが長くなってしまいましたが、本題です。これまで書いてきた話を踏まえて、Webディレクターなどの人たちに、
「オンラインチャットでメッセージを伝えたからと言って、それでディレクションしたつもりになってはいけないよ」
ということを伝えたく思います。
テキストでメッセージを伝えることと、ディレクションを行うことは違います。
ディレクションを行うという仕事の一つに、「ディレクションする相手にメッセージが正しく伝わり、その人が正しく行動し、結果をフィードバックしてもらうという一連のプロセスを、しっかり監視すべし」というものがあると思います。
チャット等でメッセージを伝えるだけでは、この最初の段階での「メッセージが正しく伝わったか」を確認しているとは言い難いです。
そもそも対面で相手が聞いてるように見えても、正しくメッセージが伝わってるかどうかは怪しいのですから、オンラインでメッセージを投げただけで、相手が期待どおりに動いてくれるだろうと思うほうが間違っています。
あくまでも人を動かしてこそディレクション。オンラインに固執せず細かく状況を確認しましょう。
あくまでも状況を確認し、正しい方向に導くのがディレクターの仕事なのですから、もし正しくプロジェクトが進まなかったら、ディレクターが仕事をしていないのと同じ意味になってしまいます。それを防ぐためにも「オンラインテキストによるコミュニケーションはハードルが高いよ!だからメッセージを送っただけで相手を信用しないでね」ということをここに書いておこうと思います。
相手に仕事をしてくれるであろう期待はしても、信用しないぐらいがちょうどいいと思います。無条件に相手を信用すると油断、慢心しますから。それに足らない手段でコミュニケーションしているということは、しっかり意識しましょう。
だから、メッセージを送ったら席にかけていって、ちゃんと顔を見て伝わっていることを確認するなり、オンラインであれば理解したことのフィードバックを確認するなりしましょうね、という話。
ディレクターは人と人との架け橋となり、チームメンバーの時間の使い方を最適にコントロールする仕事です。まちがっても「タスク」を回すのが仕事ではないと考えます。そこを勘違いしないように。
p.s.遠くないうちに発言と関係性を学習して、このメッセージを見落としちゃいけないよってリコメンドをSlackさんがしてくるようになるのかなぁ。精度出るのかなぁ。ユーザーが受け入れられるのかなぁ。FacebookやTwitterは注目度軸でのパーソナライズはやってますが、そこじゃなくて反応欲求度のスコアを算出できるかどうかなのかな。オンラインにすべてのコミュニケーションがあるわけじゃないから難しそう。
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