東京FMでやっている、「あ、安部礼司」というラジオドラマ。自分が聞き始めたのは番組が始まってしばらく経ってから。たまたま車のラジオから流れてきた内容に、つい聞き耳を立ててしまってから徐々にハマっていった。
そもそものあ、安部礼司の魅力とは?
何が面白かったかというと、
・選曲が世代的にピッタリ。BOOWYのマリオネットの着メロとかツボつきまくり。
・特に最初は安部礼司が仕事でミスをしたりするのを優ちゃん(後の奥さん)や、部長がフォローする仕事のドラマ
・そして恋愛ドラマ
安倍くんの良さは、いつもまっすぐで嘘をつけないところ。そういう彼の良さをエピソードとしてくるんでいるのが好きだった。朴訥な語り口調に共感を得るところに、日曜日の黄昏時の憂鬱な時間を埋める良さがあったのだと思う。
なお最初の番組のピークは、安部礼司と優ちゃんがくっつくクリスマス。次のピークは、飯野平太のプロポーズ。日産ギャラリーに見に行ってた。また311の時の刈谷勇の叫び声は、これから先が不安な中で共感した。
どこかリアリティを感じる人間ドラマにおける共感が好きだった。
あ、安部礼司を聞かなくなっていったここ数年
その後、安倍くんには子供が生まれ親になり先輩になり、後輩キャラが出てくると同時に、リアルイベントを開催して、ファンを増やしていく。
最初のCCレモンホールのイベントでは、声優として演じている出演者達は顔を見せなかったが、徐々に番組の盛り上がりとともに、個のキャラクターが目立っていく。
その流れと同時に、あまり番組を聞かなくなっていった自分がいた。それは、
・恋愛ドラマが一段落してワクワクしなくなった
・個人的に家族の話はあんまり興味ない
・ファンを巻き込んだ番組作りに興味がない
というのが理由。とは言え、リアルイベントでファンが集う姿を見て、存在の大きさには驚くばかりであった。
13年目のリニューアル
番組が13年目でリニューアルしたというので聞いてみた。
13年目ということは、最初から聞いてる人たちはそれなりにオッサンと言ってもいい年齢だから、そろそろリスナーも世代交代を目指さなきゃいけない時期。
可処分所得がそれなりにある30代前半ぐらいの世代までロールバックしようと思ったら、結構頑張らなくてはいけなそう。
ツイッターでは批判意見が多数発信されていて尋常じゃない状況に見える。そりゃいきなり13年巻き戻せば、それなりに変化の逆起電力が生まれるだろうなと思い、5/28放送のリニューアル後第4回をradikoで聞いてみた。
で、思ったこととしては、批判のいくつかは僕も納得のいくところだったかな。。。
以下、あくまでも個人的な感想として書いてみる。
刈谷ロスと3話構成
刈谷勇が話のテンポを作っていたのは間違いなかった。刈谷はエリートサラリーマンとして、安部礼司の親友として、誰かのサポートに回ったり、誰かをフォローしたり、時にはその力を使って助けたり、特にビジネス系のストーリーでは重要な役割を担うキャラクターであった。
時に真剣なそのギャップに共感を得ることでストーリーが締まっていたのだから、彼がいなくなった穴は間違いなく大きい。一方で、ある種の内輪感を創出していたのは彼のキャラクターだったのかもしれない。
彼が何故いなくなったのかは大人の事情があるのだろうから仕方ないとして、テンポとしての代替案として、3話にしたのかな?と思った。
ただ思うのは、「3話」であることを強調する必要ってあるのかな?という印象。
サザエさんみたいにしたいのだろうかと思ってしまったが、例えば3話目の「安倍家の話」というカテゴライズはどうなのだろう。
最初の話はAvantiに流れてきそうな話。2話目の話はサラリーマンにとってのtipsみたいな話で、3話目が家族の話。それぞれがごった煮感があって、統一感は感じられない。
1話のテイストは番組を土曜日の夕方に持ってきたほうが個人的には好き、2話目はまぁいいとして、3話目はちょっと唐突感あるというか中途半端だったかな。
Avantiでは、いくつかのストーリーが存在しつつ、世界観は統一されていてシームレスであった。つまり、あらゆる話を飲み屋での聞き耳としてまとめられていたから、多数のゲストを呼んでバラバラの話をさせていても統一感があったのだが、今の安部礼司では相当バラバラ感がある。
余計に「3話」であることが際立ってしまうが、もっとシームレスにならないものだろうか?
どうしても安部礼司という番組が進化してきた中で、リスナーのタイプがいくつかに別れているから、そのすべてに適応しようとしたのかなと考えてしまった。
むしろ、それなら、どこかのカテゴリに絞って安部礼司の世界観を保ったまま、それ以外のリスナーを切り捨てる方が良いのではないかと思う。
近年、自分が聞かなくなった流れがキャラクターの家族化、視聴者寄り添い型の流れだとして、それを維持するもよし、もし、それを変えたいと思っていたのであれば、僕が好むような、仕事でのみんなが頑張るストーリーで、元の「日曜日の黄昏時のサラリーマンに向けたストーリー」を取り戻してくれる方が個人的には好ましい。
それこそ、毎年、新入社員を入社させて、彼らが失敗しながら成長するストーリーを先輩後輩を生み出しながら進むような話である。ドラゴンボールもそれで3世代まではやったわけだから。
いずれにせよ、安部礼司という連続的なストーリー仕立ての番組を維持するのであれば、キャラクターの新陳代謝は不可欠だと思った。そうでなければ、、、安部礼司という番組でなくてもいいのかなぁとは思ってしまったのは確か。
曲が長い、選曲への共感性が個人的にはない
純粋に曲が長いなーと思った。話のテンポがこれによって途切れてしまう印象。これまでが短かったというのもあるだろうが、ラジオで流れる曲って、そういうものだろうし。そもそも曲はストーリーの伏線を想起させるような存在だったと思うので、曲が目立ちすぎるのは違うのではないでしょうか?
子供の声は快活すぎる
安部礼司の子どもたちの声についての否定的な意見について、ツイッターで何人か書いていたようだが、それは僕も同じことを思った。
キャラが立っていても自然でリアリティがあるのがこの番組の特徴だったと思うので、アニメのように快活すぎる声は、そう、サザエさんのタラちゃんみたいな印象が強い。
無理やり泣かせに行ってるようにどうしても感じてしまう。
誰かtwitterで書いてたけど、優ちゃんのお母さんが要介護になってみたいなストーリーになったら、ちょっと驚くかもしれないが、そんなことはきっとないんだろうし。
結局どう思ったかというと…
オムニバス形式にするのはよいとして、もっと話のつながりか全体の世界観をシームレスにして欲しい。曲はストーリーの添え物。大日本ジェネラル上で起こるドタバタをオムニバスにするだとかで、頑張る人の像が描けるといいな。
できれば、新キャラクターを参入させるなどして、人間ドラマとしてのストーリーを際立たせる。人は新陳代謝して固定化は防ぐ。個人的にはこういうのが希望。
と、ここまで書いて眠くて落ちそうなのでsubmit!
あ、最後に、#abe02タグは、まだツイッターがここまで流行る前に、ガラケーを片手に犬散歩しながらモバツイから安部礼司聞いてた時に使ってたハッシュタグ。
abe02ってハッシュタグはガラケーで入力しやすいんです。そうやって野良で使っているハッシュタグが公式に採用していただいて、今につながる流れ。ある種のソーシャルユーザー巻き込み型のコンテンツ企画として動いていたという認識です。
説著「100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点」にも書かせていただきました。
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