プロダクトマネージャの必要性

とある創業社長のお悩みとして、

「いつも社員が考えた企画案を最後にひっくり返す役割になってしまう」

ということについて、胸が痛いという話をしていた。

こういう経験がある人は特にベンチャーでは少なくないだろう。親会社などからこれを食らうのは辛い話であるが、小さな組織でも、それなりにダメージはある。場合によっては、ワンマン社長の元で、好きなことができないと絶望してしまう人もいるだろう。

しかし、これについて、そのように見方を変えられるかが生き残りのカギである。

「社長にエスカレーションされるまで企画案の問題点に気が付かなかった企画、チーム、組織の問題」

と。

創業社長は、その会社で一番、そのビジネスについて考えている立場である。ちょっとやそっとで創業社長を上回るアイディアを出せると思ってる方が考えが甘い。ある意味、ひっくり返されて当たり前だと思うほうが話し早く進む。

ここでミニCEOと呼ばれるプロダクトマネージャの役割は、このような状況にならないよう現場でプロダクトに関する企画案の精度を上げる役割である。

もしも何かの問題解決について、一つしか選択肢がなければ、それを突き進めば良い。これは一番簡単な仕事である。

しかし、世の中そんなに甘くなく、いくつかの選択肢の中からトレードオフを考えながら解決法を考えなくてはいけないことのほうが多い。そこでの羅針盤として、「◯◯らしさ」などの会社としてのビジネスコンセプトが設定されていることも多い。

それらの価値観を下地として、一番大切なことが、「そこで最適な解決案が考えられているのか?」という話であると考える。

最適な解決案にトレードオフが伴うなら、トレードオフに携わる関係者に調整をしておく。そこでの期待値コントロールを事前にやっておけば、後から「そんなつもりはなかった」と絶望されることも、ひっくり返されることはない。もし、それが収益性に影響があるものであれば経営陣に確認すべきだし、作るのが異様に大変になるなら現場の開発者に確認をとっておくべきであろう。

開発プロセスはウォーターフォールではない会社であれば、常に間違いがあったら企画は軌道修正されるべきである。いかなるタイミングでも変化が求められた時に、速やかに適応していくのがアジャイル型のプロジェクトマネジメント構造と言える。

ここで大切なことは、ウォーターフォールのように「後から変更を認めないようにオーソライズしておく」ではなく、「後からひっくり返されないような高い精度の企画案が作れること」が一番重要なのではないか。

それに、もし後からひっくり返されるような重大な問題が見つかる際に、その起案者が例えば開発メンバーの一言から発されたものでも尊重するべきである。プロジェクトにせよプロダクトにせよマネージャと呼ばれる人は、それに対して真摯に検討し納得できる回答を行う責任を持っているし、必要とあらば適切な代替案を考えることが必要だ。もちろん自分では解決できないなら上長にエスカレーションするのも責任の一つだ。別に全部を一人の責任で解決することが重要なのではない。

ありとあらゆるリソースを活用し、最適案を用意しさえできれば、冒頭の創業社長のお悩みを防ぐことができるようになるのではないか?結局、適切な説明ができないから、創業社長の目はごまかせず、冒頭の悩みになってしまうわけで(以下ループ)

プロダクトデザインにおいて、そのような高い精度の解決案の起案と、常に問題が起きた時に柔軟に対応ができる役割が、プロダクトマネジメントには求められる。

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