トラストレスのレスはサーバレスのレス

みんな何言ってんのかな?と思ってたけど、「トラストレスのレスはサーバレスのレス」として考えればしっくりきた。

サーバレスって言ったって、普通にサーバあるし。ただ細切れのレンタルサーバのように借りられるだけだし。そこにあるレスとは、ただのマーケティング用語でしかないし。レンサバとの違いは、機能性を除くと1日単位で借りるレンタカーと分単位で借りられるカーシェアリングの違いみたいなもんです。

それと同じで、トラストレスは現在存在する中央集権型のトラストを、分散型のトラストにしたい試みなのね。

ブロックチェーンの「トラストレス」とは何か?

こちらの記事、俺のD論か!みたいな文章で楽しかったです。

Lyftの評価の5つ星のくだりがありますが、これをトラストレスと呼ぶのですか…「Lyftの5つ星」が示すものは、LyftというWebサービスの中央集権サーバに集められた「タクシーとしての信頼がどれだけ期待できるか?」ということを示しておりまして、それが望むトラストレスなのかはよくわからなかったです。つまり、5つ星の5とか4というのはLyftのデータベース内にあるランキングにすぎず、信用の担保はLyftというサービスが中央集権的に行っているハズです。(すいません、仕組みがわかってなかったらごめんなさい)

一方でUBERで起きたレイプ事件のように、その評価はタクシーとしての信頼はそこそこ担保できても、性犯罪者であるや否やをUBERの評価システムは担保しないという実績もあります。

つまりインターネットという情報の非対称性を前提とした世界において提供可能なトラストは範囲が限られていて、特定の信用に関してのみ示しているので、適切な範囲に限った「信頼への期待」を持つべきだということを、ユーザはもっと理解していく必要があります。

ブロックチェーンの話、サトシ・ナカモトを引き合いに出されるといつも悶々とするのは、ブロックチェーンという分散台帳技術はクラックされていませんし、実に堅牢ですが、その周辺にあるエコシステムはクラックされっぱなしです。取引所しかり、ICOの信用問題しかり。

結局のところ、ブロックチェーンは信用できても、周辺エコシステムは信用できないわけです。むしろブロックチェーンの特性に振り回されて全然トラストが実現できてないのでは?とさえ思えてきます。

暗号通貨を取引所にコインを預けておくためには、2段階認証の設定はマストですし、更に外部ウォレットにコピーしてタンス預金化せよ、と。しかも、ユーザがミスると一瞬で資産を持ち去られるという高度なITリテラシーが求められるプロダクトが現状の暗号通貨です。

komugiさんの記事を拝見して、SXSWという潮流の中で、GoogleやFacebook、Amazonの世界からDecentralizedしたいという野望は十分理解できましたし、P2P的に生み出されている非言語型の信頼を、もしブロックチェーン等の技術に載せて可視化、測定化できるなら、その変化はインターネットの未来に対してハッピー以外の何者でもないので、今後に期待していますが、ブロックチェーンだけを盲信して、将来はこうなるんだ、というのでは、ちと不安だなぁと思う限りでございます。

クレジットカードは中央集権型の信用担保の仕組みですが、その実、販売店側にはチャージバックという不平等条約もあるし、避けられないボトムとしての手数料も存在し、元々対面販売を前提に作られているプロダクトですから、インターネット時代に相応にdisruptが期待されている存在でもあります。

クレカがインターネットで活用されている部分は、VISAやMASTERというブランドではなく、要は、ちゃんと「近しい未来に金を払ってくれる信頼への期待」をどう担保していくか?ということなのですが、それはスマートコントラクトが云々というレイヤーではありませんし、ブロックチェーンにあるものは、ただのプロトコルでしかないと思うので、その上にある「サービス」は、それが中央集権だろうが非中央集権だろうが誰かがサービスの信用を担保し続けることが求められます。

人が支え続けないとあっという間に陳腐化するのがインターネットビジネスの特長です。それがサイコミュのような自律分散型で行われるか否かは技術の話でしかありません。ポリシーやサービスデザインは人間が支え続けていく必要があります。

あくまでもブロックチェーンの論文は、取引所すらも想定されてないデジタル通貨の論文でしかないし、ミドルウエア的な中核技術の話でしかありません。それを人の信用に拡張するのは結構デカイ話だなーと。インターネットはサプライチェーンを変える、みたいなのをTCP/IPとHTTPだけ見て話をしていた2000年より前の世界に見えます。

ということで、世界中の皆様がんばってください。僕も微力ながらできるだけのことは考え続けていきたいと思います。

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