マストドンが切り取れるとインターネット進んだなって思える新たな市場

先日スクーさんで、マストドンのお話をさせていただきました。マストドンって何?という人から、革新的な話まで幅広くお話させていただいたつもりです。

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最新SNS masutodonとは?

スクーのオンデマンド受講はこちらから。司会の女性がめっちゃ美人さんでしたw
最新SNS「Mastodon(マストドン)」とは何か 藤川 真一 (えふしん) 先生 – Schoo(スクー)

授業の中で、新しいSNSの普及過程において、「mixiでいいじゃん!」と言われるような、それまでのスタンダードなSNSからは、適材適所的なコミュニケーションを切り取ることで、元々オルタナティブであったコミュニケーションが、「そっちの方がいいじゃん!」と変わっていき、主流が変わっていくということが暗黙的に行われているというお話をさせていただきました。

それが1日1回を前提としていたmixi日記から、「今書きたいことを自由にアウトプットできる」という、twitterへの変化や、オープンネットワークを前提としていて、かつ後発ユーザーはフォロワーにも恵まれないtwitterから、「友達だけに今すぐ発言できる」というLINEやFacebookへの変化です。

これらの変化は、必ず「市場サイズ」に依存していて、インターネットがコモディティ化していき母数が増えていく中で、それまで成り立っていた概念が維持できなくなり、同時に、それまで成り立たなかった枠組みが新たに成立するようになって、そのタイミングで適切に脚光を浴びたサービスに人々が移動していくという構図です。

そこには「これまで見えていたユーザーニーズ」などは関係ありません。

ユーザーニーズは見えていてもそれがニッチであったり、成立するかしないかは、そのユーザー一人で決められるものではないからです。はっきり言ってしまえば「偶然、たまたま」かもしれないです。ニーズを見極めるというよりは希望的観測における時代の流れを切望していたところに、たまたま陽が当たった、というのが成功者と言われる人の現実であり、それこそが時代の流れであったりします。

で、マストドンなのですが、こんな風になったらいいなとは思っているわけです。

点線領域がマストドンがカバーできるところ。つまり「個人がネットワークを引っ張る」というムーブメントです。

この図で言いたいことは、要は放送で言われた「多チャンネルの時代」であったり、「ニッチな話題に改めて分散していく姿」です。これを支えるのが個人ならいいな、ということですね。

「個人ネットワーク」の隆盛がこれから起きることだとするならば、その足がかりに「新しいもの好き」な、オジ旅メンバーやドリキンさんやKNN神田さんなど10年前のツイッターやインスタグラムやtumblrに飛びついていた人達が先導を切っているのは不思議でもないのかもしれないです。ちなみに、インスタはその後、「若者のネットワーク」代表となり、tumblrはY!に買収されてつまんなくなった?わけで、その先どうなるかは知りませんが、この文章の論点としては、今使っている人達とは、全く違う層に広まれば「普及する」という論点では勝ちだし、そうならない未来も予測は可能なわけです。

マストドンもオープンSNSであれば将来GoogleかFacebookに買収される可能性は十分考えられて、その2社であれば、どっちに買収されても先行きは怪しいので、できればそうならないまま、マストドンコミッターの人達がお金持ちになっていくことを希望します。

さて、マストドンの最大のメリットかつデメリットは、インターフェースがよくできすぎていて、これをオリジナルにするのは合理的ではない、ということです。逆を言えば、同じインターフェースで、全く違う話題のSNSに参加できるということ。これが良い方にでるのか悪い方向に出るのかはわかりませんし、メリデメは説明できますが、ユーザーにとっては使いやすいのは間違いないし、何よりスマホのクライアントアプリにおいては同じデザインで楽しむしかないので、カバー画像ぐらいしか変えることができません。

インターフェースが標準化されているということは普及にとってはメリットが大きいです。
何より後から作られたマストドンコミュニティが、すでに存在するマストドンアプリにそのまま接続可能というのは、新しいコミュニティの普及にとっては、非常にメリットが大きいです。

アプリ側の視点に立てば、いいアプリを作れば全てのマストドンコミュニティを傘下に収めることができるかもしれない、ということですね。(これこそが買収する価値の高い重要なポイントになるハズです)

つまりコミュニティの仕上がりとしては、mixiコミュやFacebookグループに対するオルタナティブになるや否やという部分が、OStatusに対応した代替サービス開発に対するメリットとして挙げられそうな気がしています。

こちらの図は、「明らかになっている市場」に対してビジネスがカバー可能な領域と、そうでない領域を示した図です。「市場があるところにサービスを突っ込め」というのがスタートアップやベンチャー経営者の思想ですが、それに対して、「市場がないところで好きにやれ」がマストドンをはじめとした個人の世界と言えるでしょう。

自ずと求められるネットリテラシーは高くなります。そのような損益分岐点が伴わないような世界が、多チャンネル化、特定の個人のパーソナリティによる運営で、ユーザーがついていく世界、マストドンや、今後出てくるであろう類似プロダクトによって実現すると良いなと思っているわけです。

20年以上前にあったパソコン通信からインターネットになって起きたのは、主に「ビジネスによる切り取り」でした。つまりビジネス化を前提としたネットの活用です。これがあったからパソコン通信は愛していたが仕事は別業界であった僕も、仕事としてお金をいただきながらインターネットに携わることができるようになりました。

これはこれで今後も頑張っていけばよいと思うのですが、それとは全く違う世界観として、これまでマイノリティ中のマイノリティとして死滅していた、「個人や小さな会社によるニッチなソーシャルネットワーク」が趣味でも副業でもブランディングでもいいので、成立すると面白いと思っています。

最近、Facebookとtwitterとはてブぐらいしか巡回する場所がなくて、マジ、つまらないなと思ってたんですよね。

つまらないとどうなるかって、本来書いちゃいけないところにいらんことを書いてしまったりわけですよ。例えばFacebookなんて、完全に仕事と大学院が結合したリアルなんですが、そこにつまらないお悩みやコンプレックスみたいな書き込みを書いちゃったりね。twitterは部下も見ているので、仕事に関する弱音も書けませんw 
何より過去の事情で14万人もフォロワーがいて、あそこに僕の好きなことを書くとフォロワーが減っていくだけ。できればこのフォロワー数は個人ブランディングの側面からは維持しておきたいので、フォロワーを減らさないためにも、いいことだけを書くことが求められるわけです。本末転倒ですね。

でも、そもそも社会(ソーシャル)はロールプレイの場なんですから、自分の一番良いところだけを見せれば良いんですよ。リアルに評価して欲しい人達の前で、自分の本音などという醜態を晒す必要はありません。

なんでそこで自分の裏側を晒せないかなんて、そもそもFacebookとtwitterだけじゃNHKと主要局が二つしかない地方のテレビ局みたいになってるからで、ありあまる情報発信欲をカバーしきれないからです。完全に子供の夜泣きみたいなもんです。

かと言って、これから知らないコミュニティを探すのも面倒だし、後から参入するのも面倒くさいな、と。何より企業がやってるコミュニティサイトは、ビジネスが目的だから、広告を踏ませたいか、マスにアプローチしたいかのどちらかだから、つまらないし、かと言って2ちゃんねるだとオタクすぎて入っていけない。

ついつい暇だとY!ブログ個人にニュースにあわせて煽りの記事を書けばいいか、とかになっちゃって、ホント自分の人生を削ってお金に変えてるみたいなインターネットって楽しいんだっけ?とふと我に返ってノートPCを閉じるわけです。

もし自分に適切なサイズのネットワークが欲しければ作ってしまえ!

それがこれ。mstdn.fm

ふと気がついたら、日本のマストドンインスタンス一覧のページを見てみたら趣味的なマストドンのインスタンスに多数のユーザーが集まっていることに気が付きました。マスタベドンとかネーミング最高ですね!

日本のマストドンインスタンスの一覧

新宿ゴールデン街みたいに「こんな狭い場所に300件も店があるの!周りきれないよ!」みたいな都会型の世界観にインターネットの方も変化して欲しいなと思っています。

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