最近、バズワードになっている「デザイン思考」という言葉があるが、英語で言うと「Design Thinking」だ。そんな一般名詞の組み合わせを博報堂の関連会社であるTBWA\HAKUHODOという広告代理店が商標申請しているとのこと。
デザイン思考という言葉に特別な思い入れがあるわけではないが、大学院のカリキュラムとして聞いている立場だし、リーンスタートアップのリーンなサイクルのキモになる考え方でもあるため、この言葉を商標登録されるのはすごく気持ちが悪い。
何故気持ちが悪いかというと、それがどういう意図であろうが、商標や特許は「独占するためのもの」だからだ。
だから、その所有者の立ち位置や存在そのものがリスクになる。
ネット系開発者に馴染みがあるものだとスマホアプリのUIでよく使われている「画面を引っ張って更新」機能のプルダウンリフレッシュは、Twitterが買収したアプリの作者が発明したもので、それを特許として登録しているそうだが、Twitterはその権利の利用にロイヤリティを課すようなことはないと現時点ではされている。そもそも権利を保有している人が、正当な権利を主張して、publicなものとして使わせてくれるのはありがたいわけなのだが、今回の博報堂の子会社については、デザイン思考に寄与した人たちでも考えだした人でもない人たちが登録しているとのこと。(合弁会社のようだが、もう一方の会社の方はなにか持っていたりするのだろうか)
気になるのは理由で一番ありがちなのが、「会社として権利を保有しないと、その言葉を使えない」のであれば、「使わない」というのが、外からは支持される考え方であり、自分たちがビジネスをしたいが故にこんなことをするのであれば、建前上の理由がどうであっても信用はされないだろう。
また、よくある言い訳として、「この言葉の権利を守るために」というのがあるが、どう考えても余計なお世話に見える。そもそもビジネスというのは「よかれと思うことの押し付け」だ。営利を目的とする株式会社が「この言葉の権利を守るために【お金をとったりはしないので自由に使ってください】」が通じるハズがない。少なくともフリーミアムビジネスモデルと区別が付かない以上、彼らが何かのリスクヘッジのために権利を取得してしまったら、その権利に対するリスクヘッジを建前論でも考えなくてはいけない人は少なからず出てくるので、「デザイン思考」という言葉にとって良い結果になるハズがない。
「性悪説的に考えた時に言葉を守るために権利を取得したけど、自分たちだけ性善説的に振る舞う」というのがまかり通るはずがないからだ。当然、周りもまた「性悪説的に考えざるをえない」わけであって、業界団体みたいなものを作って、しかるべき信頼関係が認められているケースがあれば別だが、上の書き込みを見ている限り、そういう感じでもない。
少なくとも、そういう企業間利益から切り離された、中間的役割として大学というのがあるわけで、何故、大学教育で使われているこの用語を、大学に相談しなかったのだろうかという疑問が謎すぎる。
どういう文脈があってのことかはよくわからないのが「デザイン思考」という言葉を殺したくて商標登録したのだろうか。そんなことはないだろうけど、その「よかれ」が企業論理の外でまかり通るのかについては、もう一度よく考えてみて欲しいものだし、意図があるなら聞いてみたい。今のところ、この言葉を授業で学んでいる最先端の学生たちには理解できない流れになっているのは間違いない。
【PR】ご意見、感想などは是非、mstdn.fmのローカルタイムラインでお聞かせください(210) 【出願番号】 商願2013-29747
(220) 【出願日】 平成25年(2013)4月19日
【先願権発生日】 平成25年(2013)4月19日
【最終処分日】
【最終処分種別】
【出願種別】
【商標(検索用)】 デザイン思考
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼(参考情報)】 デザインシコー,シコー
(531) 【ウィーン図形分類】
(731) 【出願人】
【氏名又は名称】 株式会社TBWA HAKUHODO
【類似群コード】 07A04 07A09 07E01 09A06 09E11 09E12 09E28 09F05 09G57 09G62 10C01 11A01 11A03 11A04 11A05 11A06 11B01 11C01 11C02 19A02 19A07 19B40 19B57 20A01 20A02 35A01 35B01 35C01 35G03 35J01 36D01 36E01 37A01 37A02 37D05 37E01 41A01 41A03 41C02 41F06 42P02 42P03 42R01
【国際分類版表示】 第10版
(500) 【区分数】 9
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 加工ガラス(建築用のものを除く。),オゾン発生器,電解槽,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,太陽電池,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品
11 便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,浄水装置,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),加熱器,調理台,流し台,家庭用浄水器,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,浴槽類,ストーブ類(電気式のものを除く。)
19 建造物組立てセット(金属製のものを除く。),建具(金属製のものを除く。)
35 広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成又は監査若しくは証明,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,広告用具の貸与
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41 技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)
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