ベンチャーに求められるスピード感の正体

スタートアップ、ベンチャーにはスピード感が求められると言われている。

しかし、開発者の脳のアウトプットが車の5速ギア(直結)みたいに最高の効率で動いたとする。

仮に最高速で動いても、エンジンや車体性能以上のスピードを出すことはできない。それ以上のスピードを求めたらエンジンは壊れる。

性能は人それぞれなので、その人それぞれで一定以上のスピードを出すことはできない。それ故、「スピード」について、どう考えればよいのだろうか?と前から思っていた。

たまたま、昨日のabema.tvの朝生に出ていた、この人の記事を見て腑に落ちたような気がする。

「やりたい仕事」って錯覚かも 僧侶・小池龍之介さん:朝日新聞デジタル

 「仏教の『足るを知る』を、向上心がなくなると考えるのは典型的な誤解です。『精進』というのは仏教の言葉で、努力することは常に推奨されています。努力の意味を現代人は『自分の力量を知らずにそれをはるかに超えたものを成し遂げようとすること』と思い込んでいる。

自分にむち打ってへとへとになり、できないからイライラしてストレスをためる。それは第一に時間の無駄だし、第二にそのたまったストレスを解消するために休日に娯楽に時間を費やしたり、旅行に行ったり。それは仏教では『怠慢』なのです」

 ――え、オフは怠慢なんですか?

 「はい。仏教には常に精進しなさいという考えがあるからです。適切に精進するために自分の力を見極めたら、それ以下にセーブするのは怠慢です。かといってそれ以上の力を出そうとしたら疲れ果ててしまう。それも適切ではない。自分がクタクタにならずに済むのはどのジャンルで、どのくらいまでならできるか、を理解した上で常に限界まで力を出す。すると毎回達成できたという心地よさが維持できて、自己嫌悪に陥るとか、やる気がしないからその前にちょっと休憩しようとか、そういう循環に陥りません」

 ――周りからの期待というのは考えない方がいいわけですね。

 「他人の期待は、できるだけ省かないといけない。他人は自分に対して力量以上のものを期待しがち。それに応えようとすると、一気にキャパシティーを超えてしまいます。だから説明も必要です。自分のキャパシティーはこの程度、仕事にやる気がないわけじゃない。これ以上の仕事を引き受けると、クオリティーや効率が落ちてしまう、と。そのためには自分の自尊心をちょっと捨てないとだめですね。自尊心は、すぐ『できます』と言いたがるけれど、『自分はここまでしかできない。ちっぽけな人間だ』と思えないと」

己を知り、己を認めることで、適切なスピードを設定するということなんでしょう。それは長く走るために、間違いなく大切なこと。

しかし、周りは、あえて少し高い期待をしてみる時があります。その結果、より成長するかも?と思うからです。期待に応えられれば、その範囲に関する小さな小さな信頼を得られます。期待に対する信頼の総量が、次なる期待を産みます。

この次なる期待こそが評価の正体です。いわゆる評価制度は、この部分の基準点を明確化するために、前期の活動成果を評価対象にしているだけなのだと思います。

期待に対する判断が低いレベルで確定したら、それ以上の無茶な期待はされません。期待をかけられ続けるチャンスは言うほど多くないんですよね。ましてオッサンになると期待されるチャンスってどんどん減っていきます。

冒頭に書いたとおり、仮に出力効率が100%だったら、いくらアクセルを踏んでも、それ以上のスピードは出ないわけですが、出力効率が100%だなんては誰も言ってないですからね。

効率が60%ぐらいしかないのなら、40%の伸びしろがある。己に伸びしろがあるのや否やの見極めも重要なポイントかもしれないですね。自己評価が高い人はこの数値を高く見積もり、低い人は低く見積もる。どっちも良くない。

結果としては己を見極め、「精進」として効率をいかに高められるか。この部分が誰にでも実現可能な【スピード感】の部分だと考えます。

結局、ここですよね。

「『下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかない』という名言があります。誰でもできそうなことを、ただひたすら打ち込むことで他人に認められ、信頼を得て、もう少しいいこと、チャレンジングなことを任される。やりたいことしかしないのは悪い風潮です。したいことをして、苦手なこともどんどん乗り越えて、すごいことを成し遂げられる人は少数派です」

マジでオッサンになると期待されるチャンスは減っていくから。精進精進。

引用しまくっちゃったけど、全部のフレーズが参考になります。
「やりたい仕事」って錯覚かも 僧侶・小池龍之介さん:朝日新聞デジタル

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