高いシェアのガラケーとAndroidと、トレンドリーダーのiPhone

Androidのシェアが高い。

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THE MID-YEAR SMARTPHONE UPDATE REPORT: Power struggles between the biggest platforms and the underdogs that are gaining ground – Business Insider

似たような話で言うと、日本のガラケーのシェアもまだ高い

【ガラケー割合は半数】新世代フューチャーフォンで潜在市場を狙う日本メーカー – まぐまぐニュース!

雑誌をスマホ記事が埋め尽くしているのを考えると、スマホユーザーの比率が高く、ガラケーユーザーなどごく少数であるというような印象を受けるが、現実には昨年末のリサーチでは、その契約者はスマホとフィーチャーフォンで大差ないという結果が出たという。

ちなみに数字を上げると、これは2014年9月のMM総研調べで、スマホの契約数が6248万件で、フィーチャーフォンの契約数は6176万件だという。これはちょっとした驚くべき話だ。

2015年にして、ようやくガラケーの契約数をスマホが超えた。

どこからかは急速にシェアが落ちるかもしれないが、携帯電話ビジネスはまだまだガラケーが支えている。

そもそもモバイルデバイスで、スマホのようにリッチなコンテンツビューワーだけがキングだというのであれば、今後のIoTで期待されてるような「単機能でUIしょぼいけど、UX便利」みたいなものは作っても、全て意味が無いという話になりかねない。

もっとも最古に成功したIoTデバイスは携帯電話なのだから、日常に入り込んだネット接続機能付き電話デバイスがそう簡単に死なないという事実は、IoTビジネスを狙ってる人からすると朗報だと思う。

世間の想像とは裏腹に、2015年においてもガラケービジネスで生きながらえてる会社も多々いらっしゃることでしょう。おそらく月額課金のツールビジネスをキープしてるところは強いと思う。自分もガラケーは普通に活用してるが、そうは言っても、電話、Suica、ネットバンキング、カーシェアのオペレーションなどのツールとしての用途に限定されている。

それに対して、世間の注目はスマートフォン上で動いているゲームや音楽、動画のツールでいっぱいだ。これはガラケーのシェアも奪ったが、それ以上にPCの市場を破壊した。

スマートフォンは、基本的には「小さなPC」という市場を作り、その適材適所としてガラケービジネスと、大多数のコンシューマ向けPCビジネスを奪うことに成功した。

ポイントは、ナショナルブランドの広告を初めとしてアテンションビジネスはスマートフォンに移行した。このような広告ビジネスは、社会の一角を担っているに過ぎないはずだが、目に入るものが全てだと考えると、スマートフォンの世界が全てに見えると言っても過言ではないだろう。

また、すでにPCブラウザよりもスマートフォンからのアクセスの方がアクセス数が多いWebサイトは沢山存在する。

スマホ市場を作ったiOSのアテンションシェアに対する影響力が占めていると言えよう。

Androidのシェアの高さは、確かに素晴らしいが、すでに死んだと思われているガラケーが実はまだ国内シェアの40%台を持っているにも関わらず、ほぼ完全にメディアビジネスからは無視されている状況に照らしあわせた時に、この数値をどう読みほどくか。

1.広告ビジネスや、低年齢向けのビジネスではガラケーはほぼ終わりかけている(良質なクライアントがスマホシフトしたことでの単価、出稿ボリュームの下落)

2.しかし、高い氷山に向けたビジネスが成功したなら、思ってるより生きながらえそう。

仮にAndroidの氷山が高くて安心していても、自分たちのビジネスにとってそれが朗報かどうかはわからない、というのがガラケーのシェアの高さからは読み取れる。

個人的に思うのは、アテンションシェアが圧倒的に高いiOSと、その類似製品としてのAndroidという競争が存在するからこそ、Androidの価値があるのであり、少なくとも国内市場という視点で言うと、iPhoneが衰退するほど代替する製品が出たならば、確実に同じトレンドでAndroidも衰退する。

「小さなタッチパネルパソコン」は、それを開発したAppleの土俵のままから変わらず、ゲームビジネスが激しく隆盛を誇っているが、ほぼ勝負が見えたため、先人のビジネスプレーヤーはそろそろ新大陸を目指して旅立っていくnow、というのが今の状況だと言えるだろう。

だからと言って、別に今すぐスマホが衰退する必要はないわけで、メディアプレーヤーとしては、しばらくスマホに勝つものは出てこないと思うのでメディアビジネスは、引き続きスマートフォンだと思うが、しかし、仮に素晴らしい代替製品が出てきた場合の、世界レベルのAndroidのシェアの高さを活かせる国内プレーヤーはほとんどいないだろう。(と言うより、みんな、しれっと新市場に移行してくと思う)

その時には、みんながスマホ落としてガラス割ってたよねぇ、なんだったんだろうね、アレ、と思い出話に華が咲くことだろう。

そうなった場合は、根強いニッチなツールビジネス、モバイルWebブラウザ向けという汎用コンテンツのポジショニングを取れたところが、残存者利益として、末永い恩恵を受けると思われる。(アプリは維持コストが高いからそうなったら続かないと思う)

それがガラケーで培った、「高い端末シェア」という氷山に対する一つの読み方だと思う。

あと最後に、一つ個人的に見えていなかったのが、技術の変遷、進化というよりは変化に伴うブラウザからのアクセシビリティ減少は予想外だった。具体的にはSSLのTLS化に伴うネットワークアクセシビリティの変化のことであり、もうちょっと月並みに言うと、ガラケーから見て主要サイト(特に海外)がアクセスできなくなったのが予想以上に痛い。技術の変遷は、過去の資産の維持コストに大きな影響を与える。

ノートPCの死が最大搭載可能メモリ容量に依存するという時代背景の変化に伴うことと同じく、IoTデバイスが死んでいく一つの道筋は、api接続先のセキュリティ事情の変化に追従できない場合なのだろう、ということが予測できる。

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