エアコンもコピー機もパソコンもない頃の、「バリバリ働く」うちの何十%には、きっと、
「明日出さなきゃいけない契約書を、手で間違えずにすばやく書くスキル」
というのがあって、このクリティカルなスキルの差こそが残業時間の差にあったんじゃなかと思う。
特に若手。上司たるオッサンは、そういうの全部、部下にやらせてたハズ。絶対、今のオッサンより仕事してないw
つまり、単純労働で時間がかかるものであればあるほど、若い子に作業が移譲されて、全体が仕事をした気になっていたハズだ。
それが今で言うなら辞書を調べる行為が検索エンジンになってほぼゼロ秒になり、自分でなんでも調べるようになった、だとか、ビッグデータ解析のバッチをひたすら待ってたのが、Hadoopでいい感じに高速に仕上がるようになったので、繰り返しの試行錯誤が現実的にできるようになった、とか、そういうことがOAやFAの波は実現したのだと思う。
よくIT系で便利なサービスが出てきた時の売り文句として「開発者は自社のソースコードを書くことに専念して」みたいなのがあるが、その実、分業して雇用が維持できるほどの仕事量ではなくなるので、「全部お前がやれ」ということになって、個人のフルスタック化が助長されていくのが現実ではないだろうか。今、絶賛サーバインフラの管理業務がそんな感じになりつつあって、DevOpsとかそういう流れになっているのは一つの最先端なのだと思う。がんばろう。
昨今の人工知能においても何が突如ブレイクするきっかけなのだろうかと考えていたが、結局、「非現実的なほど面倒くさくなくなった」ぐらいしか思えなくって、それがビッグデータとかクローラとか、HadoopやAWSなどの技術に支えられてるようだが、別にどれもこれも今に始まった技術ではない。
そう考えると、パソコンが出てきて、確かに昔の仕事のいくらかはなくなった。それこそ、代書的に契約書を作っていた人の仕事は、ワープロを印刷して、ホチキスとテープで製本して、ハンコを押すという作業に変わった。
でも、今、別にすげー失業者が溢れているという感じでもないな。言われてみれば確かに非正規雇用は増えたかもしれないが。
ロボット化する社会は、この延長線上にあるとすると、確かに連続的になくなる仕事はあるだろうけど、こう構えるほど突如センセーショナルに変化するとは思えないんだよなぁ。
ロボットの進化も、最初はアーリーアダプターが馬鹿みたいに無駄金使って導入して、普及曲線を描いて、どこかのタイミングで分水嶺を超えたところで、ガラケーやスマホのようにわーっと普及するわけでしょ。全くアンテナを張ってない人からすると非連続に物事が進むかもしれないが、知ってる人は完全に連続的な進化をするハズ。
だからそれさえ見てれば、大体どうなるかは予想がつくと思うし、そんな情報はネットで逐一報告されるので、不感症になったり無関心になっていない限り、適切な進化を見届けることは難しい時代ではない。
全く今までロボットとか意識してなかった人からすると、やっぱり今の動きが非連続に見えるかもしれないが、水面下で普及前夜の技術から、すごく進化したというイメージではないところからすると、やっぱり、みんなが思う「理想的で驚異的なロボットのありよう」ってのは、まだまだ先の先の先だと思う。
やっぱりプログラムで、全く想定されていないところを自律的に考えて進化をしていく、というタチコマのような学習モデルが実現しないと、みんなが思ってるようなことは起きなくても、統計理論を使おうと使うまいと、お釈迦様の手のひらの上での、パフォーマンスが凄いや否や程度の世界観からは、まだ超えそうもない。機械学習だろうがなんだろうがフィードバックループで説明ができてしまううちは人間には勝てない。
でも「おもてなし」エンジンってのを開発してみるってのも、局所最適化のモデルとして悪くないと思う。僕が自律的なロボットの研究者ならそれを研究してみたい。現状のモデルの進化の先に、どこか非連続なジャンプの機会が生まれるかもしれないので、研究者であれば諦めないところだと思う。
それこそ今、ロボット社会を夢想して、何十年も先の予想をしてることそのものが人間のクリエイティビティを発揮してる印象が強い。意思や哲学の元で行われる非連続的な進化は、人間しかできないお家芸だと思う。
ロボットの進化は、今のところ勝手に行われるものではなく、あくまでも人間がもたらす進化でしかない。これが自律的に行われるようになった時にようやく人類存続の危機になるかもしれないが、そこへの道は相当険しくて。それこそマッドサイエンティストが、超絶細かいことを実現することを実現した結果なのだろう。それが明日のビル・ゲイツと言われることだろう。作り手が経済合理性などを考えた瞬間に無理。それはただの妥協だから。確かに、将棋に命をかけているとか、そういう研究者こそが作る道なんだろうな。
まぁインターネットだってインターネット革命だと言われて、15年以上経ってようやく、それっぽい感じになってきたわけで、凡人はまぁ気長に待ちましょう。と考えると、僕が生きている間に見ることはできるのか、若干不安である。でもネットがあるから、適切な情報は瞬時に共有され、それによって他の人が鼓舞されて更に研究が進むということは世界中でブーストされる世界になってる。焦りすぎず、遅すぎず適切なスピードで進化の過程を見ていきたいものです。その中で、少しだけ進化のお手伝いできたらいいな、と思うくらい。
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