以前、某L社が上場した時に、SEOというオーソドックスなWebの手法を突き詰めて、そこにビジネスを載せるとこんなことになるのかと関心した。
その時から、Webと親和性の高い方法論は、新しい視点一つで宝にもなることがあり、安易に自分の常識に流されてはいかんなと言うことを学んだ。
先週は、IVSの併設イベントのCTO職や技術責任者の人たちが集まる集いに参加するために宮崎に行っていたが、そこで会った人たちの印象として、クローラを使う会社の元気な姿があった。
つまり、正式にapiなどでデータ提供を受ける前に、クローラを使ってアナログ的にデータ連携させてしまい、その上に付加価値を載せていくサービスだ。
インターネット上に重要な情報が満ち溢れているので、それをマッシュアップするというもの。割とWeb2.0的であり、それが更に進化した手法だとも言える。
インターネット上の情報をうまく活用するという意味では、バイラルメディアにもどこか共通する部分があるのかもしれない。バイラルメディアにいろいろ問題があるのは知ってるが、コンテンツの再配信という部分にメディアの作り手が忘れていたハッキングポイントがあったのは間違いないと思う。これも、ある意味、ネットのストックの掘り起こしというオーソドックスなネット資産活用をうまくやっている事例だ。
新興勢力は何かをハッキングして新しいレイヤーを作っていくので、いいこともあれば悪いこともある。
これらサービスも、経済合理性を元に適切な契約に持っていくことで強固な関係性が作れるが、そのパワーバランスを失うと後ろ盾がなくなるので、そこをうまくやっていくことが求められる。先ほどのL社は、SEO依存の部分で、その後いろいろあって今は苦労されているという話を聞く、バイラルメディアも今は少し正念場のようだ。生殺与奪を他社に委ねてしまうのが、このようなモデルのアキレス腱で、とにかく、パートナーとうまくやっていくことが求められる。
CTO night & dayの参加者が唯一IVS会場に足を踏み入ることができるlaunch padを見ていて、ふと思ったが、いわゆるITサービスのみを提供していて、そこからマネタイズに入ろうと思うと、広告もしくは、アフィリエイトによる低マージンの収益を得ることになる。そこから相応の売り上げを上げる会社になるためには、ユーザ数を沢山取らなくてはならない。今後の市場を鑑みてユーザ数が、サービスの訴求点と一致していれば良いものの、原則ニッチサービスのような部分であれば、「収益要素がある」ではなくて、「如何に、高マージンに持っていくか」という視点は不可欠だと思った。
launch padの参加者で、株銘柄の指標を解析し、簡単に色分けで表示してくれるサービスに興味をもって仮登録もしてみたが、プレゼンの中では、ビジネスモデルは証券会社などへの誘導やトランザクションによるアフィリエイトなどと仰っていた。それだとexitは、それこそネット証券へのバイアウトという感じになるのではないだろうか。実現ハードルの高さは知らないが、できれば、自らが証券会社になってトランザクションそのものを自社でやるぐらいが望ましい。
ニュース系は、この辺は進んでいて、最初はクロールした情報をスマホ向けに提供しユーザーを掴んだサービスも、今は自社でメディアを持ってオリジナルのコンテンツ力を高めていくという流れが進んでいる。最初はクロールをして他社のコンテンツの恩恵を受けつつ、足場を固めていき、次の段階で、主流たるコンテンツメーカーの立場を作っていき、より相互の動線を強化するということか。
初期の段階で求められるのはクローラを作って、ネット上の情報を集めて加工することになるが、そこはエンジニアの得意技である。コンテンツ性を外部に委ねておいて、新しい価値を作る。そこでの切り口が優れていれば、次なるステップに進むことができる。
うん。これはWeb2.0モデルの成功例だよな。間違いなく。スマホアプリのUI/UXという論点に釣られて見落としていたが、基本的なモデルは、あんまり変わっていないし、むしろ、あの頃の成功法則が間違ってなかったということだと思う。ただ1点、大きく違うのはCGMにサービスのコアバリューを委ねるのではなくて、インターネット上に存在するメディア情報を元にメディア価値を構築し、そこから生まれるCGMをリテンションや差別化要素として訴求し、SNS等へシェアを通じてブランド構築および新規流入をバイラルさせていく部分にあると思う。
ニュースの場合は、どちらかというとCGM部分をSNSに丸投げしているので、そりゃFacebookも自分たちで始めるよね、という部分が、今後どうなるかが気になる部分だ。ニュースの質という軸で戦えば、そもそもサービス性をコミュニティに依存してるわけでもないので、勝機はあるように思えるがどうかな。一番ウザいのは共有されたニュースからの誘導をFacetimeの電話番号のようにFacebookが持って行ってしまうことだろう。そういう部分でもニュースは自前で作ったり、自社ブランドによる再配信権を獲得していかねばならないのだろう。
その辺は全く知らないので様子を見るとして、Web2.0で語られたAmazonなどの成功法則としての構成要素を並べて、それを前提にサービスを考えるのではなく、各社がいい感じに作ったら、結果として要素が被っていたというのが健全だと思う。やはり成功法則は結果から考えるものではなく、結果としてそうなった、として扱うべきなのだと強く思う。
この記事も結果から追っかけようねということを助長してしまう記事なんだろうけどね。
基本的には軒先を取る形で既存コンテンツに新しい価値を作り、母屋を取りに行くのはYoutubeやニコニコ動画が成功例としては王様で、ニコニコ動画も最初はYoutubeに委ねつつも、ヤバくなった時に自社でコンテンツを支える方向に行って有料課金モデルで成功した。しばらくは大量の赤字を出していたのは周知の通りで、それと似たような流れで、周縁から確固たる立ち位置を得ようとすればこそ大型調達に走るということなのだろう。
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