開発者、サーバ管理者にとってのApple Watch

Apple Watchの通知のことがあんまりわかってなかったんだけど、林さんのレビューを見ていて、iPhoneの通知は漏れなくApple Watchにも届くらしい。(正確に言うとApple Watchで受けるべき文脈において、というのが正解。iPhone開いてる時にはiPhoneに通知が来る)

つまりアプリがApple Watchに対応してなくても、通知が来るということらしいので、New Relicによるサーバアラートの通知が、Apple Watchに届くってことだ。

あ、これで、ついついiPhoneを置いたまま見逃してしまうというのを避けられる!

そうでなくてもNewRelicはApple Watchに対応するだろうから、glanceとかでさくっとサーバステータスが見えるとありがたいな。

CTOだったらそれぐらい自社サービスに寄り添ってもバチは当たらんだろう。

あとGoogle AnalyticsでPV見るとか。

あ、自社用にダッシュボードアプリを作って、今日のサービスパフォーマンスを、Apple Watchで見られるのを作ればいいんだ!

iPhoneアプリを入れてる = サービスと寄り添うパーミッション

iPhoneアプリを入れてる時点で、Apple Watchにもアクセスしていいですよ、というパーミッションを示すことになる。

だから不要な通知は、今まで以上に止められるでしょうね。

Apple Watchの技術的利点

Apple Watchが、PebbleやAndroid Wearに対する利点というのは、現時点でサードパーティが作れるWatch AppがiPhoneアプリの拡張(Extension)でしか作れないということだと思う。

WatchAppとiPhone appの関係性は、クライアントサーバだ。WatchAppは、AppExtensionとして、iPhone上の別プロセスで動作し、Apple Watchにはあたかもブラウザのように画面とUI制御が配信される。AppleWatch側に大量の情報は保存できない。(画像キャッシュはアプリ側で保存できる)

XcodeでApple Watch対応のExtensionを追加するだけで、iPhoneアプリと、WatchAppが関連付いたWatch appを1行もコードを書かずとも作ることができる。

つまりどういうことかというと、WatchAppを起動するだけで、iPhoneアプリに保存されている個別のユーザーのID情報を、WatchAppで利用できるということだ。iPhoneと密結合していることで、iPhoneアプリに保存されている認証情報を、信頼関係が取れているWatchAppで活用することができる。

そのiPhoneがなければ、Apple Watchからセキュアな情報にアクセスできないというのであれば、この2台の組み合わせを持っていることは、自動的にセキュリティレベルをクリアしているユーザーということになる。だからApple Watchに関しては、そのIDを持っていることでセキュリティ認証を1ステップ省略していいと考える。

今の所、iPhone app -> WatchAppという方向でそのようなセキュリティ省略ができるので、これをユーザビリティに活用することで、NewRelicのようなパーソナル情報を閲覧するコンテンツを簡単に扱うことができる。

僕は、これがApple Watchが「もっともパーソナルなデバイスです」というキャッチフレーズの肝だと思っている。現時点ではね。

今後は生体認証がついてくれて、その腕につけているユーザーが誰かというのがわかれば、今度は、Apple Watch側から、iPhoneアプリでの認証に使うことができるだろう。そうすれば、id,passを入れなくてもクレジットカードを使えたりできそうだが、Apple PayやTouch idという技術はあるので、何が最適か。今は思いつかないようなUXの優れたサービスが出てくることは想像に容易い。

いずれにせよ排他的にApple Watchじゃないとできないというものではなく、iPhoneアプリと寄り添って、うまくエンハンスしてくれるのがApple Watchの魅力。それだけに買うメリットは、iPhoneオンリーのユーザーを出し抜けるようなUXが不可欠だと思っている。

少しそこのベネフィットが地味なので、流行るのかは僕は、あくまでもサードパーティ次第だと思っているクチです。機会損失を防ぐか、他の誰かよりも1秒でも早く目的を達成できるか。iPhone見ればいいじゃん!で済むサービスしか出なかったら負けてしまうかもしれない。

とビジネス的、UX的なのは置いておいて、もう少し技術的にプリミティブなWatch Appのメリットをまとめておくと、

Webサーバ + HTMLのような構造を、iPhoneアプリ + WatchAppというウェアラブルモバイルの世界で1行もコードを書かずに実現できること。モデルや通信ライブラリは、ほぼそのまま使いまわせること。また、HandOffまたはバッグラウンド呼び出しの2種類の手段で、Watch app -> iPhoneアプリにアクセスできること。WebサービスやiPhone appからApple WatchへはPush notification、Local Notificationでアクセスすることになるかと思います。

Push Notificationは、特別な存在ではなく通常のメッセージのバスとして使い慣れないといけないすね。経験なくて苦手意識ある人たくさんいるでしょ。なにげに。

iPhoneアプリを地味に強化してくれるのが開発者から見たApple Watchの最大の魅力だと思います。さて、あなたは何を作りますか?Xcodeを使える人の特権タイムが来ます。

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