楠正憲さん「再設計の歴史としてのWeb」を予測する【WebSig 1日学校2013特集】

今日からしばらく、10/5に行われるWebSig1日学校の授業の概要を見ながら、出演者のプロフィールや講演概要から思いついたことを勝手に書く記事を続けていきたいと思います。

第一回の今回は共通授業、基調講演である「再設計の歴史としてのWeb」です。
先生は、ブログ「雑種路線でいこう」でもおなじみで、Yahoo!JAPAN ID本部長の楠正憲さん。

楠さんのblogは、はてブ界隈やアルファブロガー界隈ではおなじみですが、もしかしたらblogからSNSアテンションの方が印象が強い20代前半の若い人には意外と馴染みがないかもしれないので、僕が知っている範囲でご紹介しますと、とにかくプロフィールがすごい方です。学生時代からライターをやられているし、いろんなネットビジネスに絡んでるし、エンジニアもやってるし、Linux開発してるし、MSのプロダクトマネージャーやられてるし、研究職もやってるし、政策にも関われているし、こういうレイヤーにいて、ネットでもお馴染みという方は、なかなか日本にはいないマルチなエンジニアの方と言えるでしょう。僕が初めてお会いしたのは有名ブロガーとしての楠さんですが、当時はマイクロソフトのCTO補佐をやられてました。昨年から爆速Yahoo!に転職され、今はYahoo!ID本部長をやられています。

ID戦争という言葉も最近あまり聞かなくなりましたが、ID戦争というのはネット系大企業の本丸となるビジネスです。例えばTwitterのサードパーティやFacebookアプリ、Apple ID、Google IDなどアプリプラットフォームにおけるIDというのはわかりやすいと思います。最近のソーシャルゲームでGREE、モバゲーが苦戦を強いられているというのも、もとを正せばネイティブ、ブラウザという以前に、GREE ID vs Apple IDの戦いだと言えるでしょう。IDを押さえることでビジネスの根幹を握ることができます。以前は、Livedoor IDというのもありました。今はLINE IDですね。

Yahoo! IDの場合は自社の全体的なプラットフォームの他に、Yahoo!ウォレットなどのEC系のプラットフォームを担うという部分が大きいと思います。また、Yahoo!ポイントがTポイントと提携して、ポイント事業をTポイントと共同して行うようになったのも大きい話です。EC系のID施策はポイントと連携しており、それがさらにリアル動線のTポイントと協力しているのは、対楽天ID、Amazon IDとの戦いのおいて重要な役割を担います。

とIDの話を長々と書いてしまいましたが、要するにネットビジネスの広範囲な部分に影響するお仕事を担当されているのだなぁと肩書を拝見して思っているわけですが、今回WebSig1日学校の場では、ある種、ネット発展の歴史におけるドタバタ劇みたいな部分をお話いただけるようです。

WebSig1日学校2013での概要を見ていると、

ネットの世界はドッグイヤーといわれますが、実際のところまったく真新しいアイデアはそれほど多くはなく、さまざまなアイデアが繰り返し試みられてはその多くが失敗し、時代の変化に応じて再設計され続けた歴史といえるでしょう。

再設計の歴史と言われて僕が思い出すのは、2000年頃から流行ったXMLを使った仕様策定の歴史ですね。中でも、2000年代前半、僕が仕事の関係で注目していたのは、動画や画像の同期制御を行うSMIL、ベクターデータを定義したSVG、もちろんXHTML。また通信方式ではSOAPというのも注目していました。

その後、こういうのがどうなったかというと、まずSMILはほとんど表舞台から姿を消しました。昔はRealPlayerという動画プレーヤーのクライアント側で動画に字幕をつけたりするのに使われたり、Windows Media Serviceというストリーミングサーバでコンテンツ番組表の記述にSMILが使われているのを見たのが数少ない活用事例でした。その後、ニコニコ動画でのFlashやJavascriptで似たようなことが実現されちゃってますね。

SVGは、CanvasなどHTML5関連で微妙に話題になりましたかね。これはまだ希望が持てる状況ですか?

SOAPは、JSONに置き換わりました。SOAPはややこしすぎて使い勝手が悪かったのですが、思想はよくできていました。哲学が、Javaや.NET的な世界で、LLとは相容れない感じだっただけです。しかし時代がPerlやRuby、PHPを使うベンチャーが話題の中心になっていったことで、よりシンプルな方向にトレンドが向いてしまい、SOAPは忘れられることに。

そうこうしてる間に、JSONがWeb2.0のAPIブームの中心になりました。Twitter apiもXMLとJSONの両方をサポートしていましたが、XMLフォーマットはSOAPではありませんでしたし、XMLのapiも今は淘汰されてしまいました。

世の中、簡単なものじゃないと使われないという言葉がありますが、これは技術者においても同じ話で、やっぱり検証しにくいものや、ややこしい技術は使われないという事実があります。しかし、それが故に、とっくに実現できていても良い物が、あんまり実現されずに、仕様だけがグルグルと変化しているだけと言うようなこともしばしばあるのです。

ある種の生物学的優位性みたいなものが技術にあるとするならば、絶対的な能力の進化はほとんど行われておらず、イケメンになってモテるようになって「誰でも使えるようになった」ということが進化として語られるのが今のインターネットの特徴だったりします。コンピュータサイエンスの進化ではなく、エンジニアリング(工学的な)進化とも言えるのかもしれません。

そういう中で技術を「最新の中の最新の最新」という視点で考えている人たちは、なかなか自分たちの思っていることが理解してもらえなかったり、使われないという理由で余計に使われないというジレンマがじたんだを踏んでいることもあるでしょう。せっかく考えたことが、普及段階ではより小さなところに最適化した別の技術に置き換われて、元の思想のサブセットのような技術が席巻してしまうのです。

そういう状況の中で、例えばマイクロソフトはOSを自分たちで作れるけど、アップルはOSはフリーのものを採用して、それをうまく使っているという話があります。しかし、それでもマーケットを作った方が強いよねというビジネス的な事実の前に、「できること」「できないこと」がぐるぐる回っているのが実情なのかもしれませんね。

そんな話が当日なされるのかはわかりませんが、授業概要から勝手に想像してみました。
次は、誰の概要に行こうかなぁ。

授業概要と先生について

やっぱり順番通りcloudpackエヴァンジェリストの後藤さんかな。後藤さんってすっかりAWSのイメージが強いんだけど、そういえば!というのが今回の授業の概要に書いてあってびっくりしたのです。

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