はてな村の池、ネット先端層の池、マスインターネットの池

サービスを作って、人に使ってもらいたいなって思う時、僕らはどこにどういうターゲットにしてどうプロモーションしていけばいいのかって思う。

それこそスタートアップにせよネットで上場している企業にせよ大希望投資を受けた会社は「マスインターネット」を取りに行かないといけないので、それこそGunosyのように商品性そのものをパーソナライズからマス向けにシフトしたりして、それが今のインターネットの流れなのかなってなんとなく思ってる。

そういう流れに呼応して「俺達のインターネットはなくなっちゃったんじゃないか?」って不安の声もちらほら見えてきて、確かにその気持ちはわかる。

本当にもとめている「俺達のインターネット」とは、

・「普通の人があんまりいないインターネット」

であり、

・「ギークだけの楽園であり」
・「こんなの普通の人は使わないよなー」って言いたい世界であり

でも、

・「どこか沢山の人に使ってもらえることを期待している」

世界だったんじゃないかと思う。それを優越感と呼ぶのか、人が良すぎると呼ぶのかわからないけど、まぁ何かそういう世界があって、世間では「オタクの世界」だとか言われていたりしますよね。

ところが実際にインターネットが多くの人に使ってもらえる世界になってみると、そもそも情報断絶していたのは何も変わらず、両者間の情報の橋渡しをしているのが、Facebookのシェアであったり、ニュースアプリや、バイラルメディア、また雑誌やテレビのようなマスメディアが担っているというのが現状だと思う。今のネットサービスにおいては、ビジネス向けならWBSに取り上げられること、若者向けなら朝のニュース番組に取り上げられるというのがステップアップの通過点になっている。

そういう状況下で、特にバイラルメディア周辺はネタ元が「自分達」だったりするので、そういう流れが、

・とても不健全に見えて
・どこか踏み台にされてる感があって

納得がいかない、というのが、現状の不一致感の理由なのだと思う。

インターネットのWebサイトなんてものは無視してしまえばなかったことになるメディアなわけだが、Facebookに気に入らない書き込みのシェアが流れてくれば、悪口の1つも言いたくなるといういのが、人情というものである。

ネット上には、誰かが何かを行動した情報しか流れてこないので、ネットにおいては好きの反対は無関心ではないというのが、クソリプという言葉だったり、「日本のWebは残念」だったり、という形で現れてくる。

とはいえ、バイラルメディアの某サイトが残念だよね、と言った所で、そもそも情報が断絶しているのだから彼らはギークの声をスルーし、仕事を淡々と続けることで、同じWebというパーマリンクの上にいるにも関わらず、ギークのアクティビティを無料で仕入れて、ネットを暇つぶしや受け身で楽しむ「数多くの」ユーザーに流通させるというモデルが成立することになる。

どうも、同じWebという世界にも関わらず、最低でも2つの世界が存在し、互いに断絶していることを意識し、そのギャップを活用することが、1つのネットの成功例となっているようだ。

この状況は、そういうものなのだ、と受け入れるのもよし、それらの打開に向けて新しいチャレンジをするもよしなんだけど、逆に、僕が1つ提案したいなと思うのは、

・「従来の狭いインターネットで閉じてれば良いのではないか?」

ということ。

下手に100万人だの1000万人だのを狙うから、LINEやFacebook,Amebaになれない自分が辛くなってくるわけなので、そうじゃなくて、濃いインターネットユーザーと繋がりうる数人から数十万人規模で楽しい世界が作れればそれでいいんじゃないの?という視点を持ちたい。

そのためには、

・この混沌としたインターネットやアプリマーケットにおいて、どうやって濃いユーザーに「だけ」リーチするか

という視点と努力が必要になってくる。Pixivのように振り切ってるサービスはわかりやすいが、もっと普通のそれこそ僕が作ってるShopCard.meだったら、食べログキラーとしての世界観だとか、何かもっともっと濃いところに「だけ」使ってもらえるサービスを作らないといけないよなって最近、思うようになった。

それが、はてなブックマークを経由したり、Twitterで話題になったりなのかもしれないが、可処分時間の結構な割合を、「マス向けインターネット」の情報に埋め尽くされている今だからこそ、「それ以外の人たち」は、うまくアングラな世界を作らないといけないのだと思う。

それまで裏通りのように見えていた商店街の近くに突然、大きな駅ができてしまい沢山の観光客が来るようになったので、最近やってきた商売人は、街中に転がっている情報を面白おかしくわかりやすく表現するし、うまく流通させて人気を博している人たちが出てきました。そういう流れを見て「あぁ俺達の商店街は終わった」と嘆いているのが現状だと思うのですが、それはもう仕方ないのない流れなので、商店街の大通りではなく、裏通りに集う世界を作らないといけないですよね、ということなのだと思います。

携帯とPCは世界が断絶していたので、それがスマホになって同じ世界に流入してきたらどうなるのかなと思ってたら、思ったより辛かったでござるというのが今なのだと思いますが、大通りの混雑を見て「俺達の時代は終わった」ってのは少しもったいないなって思いますね。そもそも、その人たちは見える世界にはいなかっただけで、物理的に存在はしていたわけですから。

裏通りで楽しそうにしていれば、きっと大通りからも人が流入してくると思います。

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