Perl-based 多言語イベントに進化したYAPC::Asia 2014

今回、Perl特化セッションを避けて通ってみても、結構行けたのが印象的でした。

スピードだけじゃなく品質も大切にする時代

「静的型付けはソフトウエア開発の安定性に寄与する」

2005年頃にJavaでCMSを作っていた時に、最近、Perl流行ってるみたいなんだよねって話をした時に、同じチームの信頼できるプログラマが言っていた言葉だった。

まさか同じ言葉をYAPCで聞くなんて。

はてな社がScalaを採用した話、YappoさんのJavaの話。YappoさんのJavaの話のいくつかで、数年前のYAPCオーディエンスなら、デメリットもしくは「嫌い」と考える人の方が多かったんじゃないかなぁと思いながら聞いてました。

また、Hadoop等の分散データ処理技術は、Java VMに限られる状況だそうだ。
CPANモジュールで、これらと接続ライブラリ等を開発するのは重要ですよ、という話は印象的だった。

かつては、Pure Perl、Pure PHPで、大体、事足りる世界だったと言えるのかもしれない。オープンソース作者が、自分たちの世界を拡張することで完結していた世界。だから、それぞれの言語コミュニティに集まる人材の量が、言語自体のポテンシャルを規定していたとも言える。

だから、それぞれの世界が閉じていたように見えていたのだろう。

今は、もうその枠には閉じない。クラウド環境が、もっと広い世界と接続し、データを交換する時代になっているからだ。

1300人以上の集客を実現したのは、そういう世界の存在にいち早く気付き、広げていったからってのはあるんじゃないでしょうか?

microservices

ペパボの技術責任者であるあんちぽさんのプレゼンで、機能単位で複数のプロセスに分散化し、疎結合化し相互接続するmicroservicesという言葉を初めて聴いた。この言葉は、SOAの焼き直しとも言われているようだが、かつてEnterpriseで提唱されたものが、コンシューマ向けのWebサービスでも有用になるほど重要性が高まったということに対しては、全然違和感はない。

microservicesは、以前書いたエントリ、「Webサービスが当たると、いずれ返済できない技術的負債に突入する由々しき構造について 」の悩みを解決してくれる1つの手段だと思う。このエントリで、自分もこう書いていた。

もちろん解決法は、だから既存言語でもいいじゃん!という価値観を強制しよう、という話ではない。

自社のサービスのアーキテクチャ自体に多様性をもたせ、その先のものであれば好きな言語で機能を作ることができる

BASEはサービスそのものがAppsと言うプラグイン構造を取っているので、それなりにヘビーな機能であればこそ、全然違う言語の別のアプリケーションサーバに機能を切り出してしまうのは、決して抵抗のある話ではない。そういう機会を通じて、より適材適所の開発言語や開発フレームワークを繋げていくことは、すごく大切なことだと思う。だから、それができる、やりたいと野心を持つようにエンジニア魂を育てていかないといけない。

今回のYAPCを聞いていたら、上の記事に書いていたことが、少し杞憂だったかもなと思うに十分な話だったかもしれない。自分たちの手慣れた技術に閉じず、野心的に最適な技術を採用していくという流れが、さまざまな言語の話が聞けた根底に流れているものだったのではないだろうか?

YAPCの中のPHP

なんとベストスピーカー賞に選ばれたプレゼンが、

半端なPHPDisでPHPerに陰で笑われないためのPerl Monger向け最新PHP事情(5.6対応) – YAPC::Asia Tokyo 2014

だった。プレゼンのクオリティと面白さの破壊力でトップになったんだと思いますが、PHPを扱ったプレゼンがYAPCで1位を取るというのは、非常に印象的だったのではないでしょうか。

なんとなくYAPCにいる空気の中で思ったのが、Perlに対するPHPの存在というのは、ブロガーにおけるイケハヤ氏のような存在なのかなとは思ったりも。PHPは、確かに妙なところはあるから笑いものにはできちゃうんだけど、でも、なんだか人気があって、仕事に使えないほど低スペックでもなく、国内ならGREEを筆頭にビジネスで成功している企業も沢山ある。突き放して無視できるほどダメではないので、余計にdisに繋がりやすい、という感じ?

あと、ちなみにベンチマークの話を見ていて、数10%程度の差なら別に気にしないって思うのがPHPを使う人の印象じゃないかなーと思ったりしました。実用レベルなら、十分戦えるじゃん、という印象しかw

もちろん、ツイキャスのように数10msec単位をこだわってチューンしてるケースはあるんですけどね。ツイキャスは、ストリーミングサーバもPHPで書かれていて、しかも700万人以上のユーザが使ってる例なんて、多分、世界中探してもそんなのない凄い事例なんだけどね。あんまり知られてない、というか赤松さんがしゃべってない。隠してるわけじゃないから言っても良いですよって聞いたので書いてるけど、PHPはPHPで結構奥深いんで、本気でPHPer(笑)とか考えてる人がいたら世界狭いと思っています。そういう意味でも、良プレゼンでした。

イベント登壇

始めて行った東大開催のYAPCを見た時に、来年は自分も登壇できるようなネタを作るぞ!って思ったのに、結局、2年ぐらい経ってしまった。

僕は技術を突き詰めるタイプではないので、技術系イベントでしゃべるのに苦手意識があるのだけど、昨日、懇親会で出会った人としゃべっていて、そういえば、モバツイの時は、id:rx-7の並河さんのブログ記事を見てAWS環境を構築しただけなのに、モバツイ x AWSという組み合わせで、いろんなイベントに呼ばれて登壇したんだったな。自分で1つの技術を突き詰めるのは得意じゃないけど、多分、何かと組み合わせれば、しゃべれるネタを作れるんだなぁと思った記憶がある。なんか、そういう感じで来年こそは、会社の名前で技術系イベントに登壇したいなと思うので頑張ろ。

協生館

去年と今年と僕が大学院博士課程で通っている協生館でYAPCは行われたわけですが、KMDがネットワーク設営にも協力していて、何を隠そう僕が所属するネットワークメディアが協力していて、最後のクロージングでは、いつも進捗を見て頂いている加藤先生が挨拶で登壇していて、学生としてのプライベートと、Web業界という仕事の感覚がmixされる不思議な感覚。不思議といえばドラ娘もやってたIT Mediaの太田さんもKMDの先輩にあたる人だったりします。

初日の帰りに電車に飛び乗ったらKMDの修士同期の人たちとばったり会って、YAPCってさ、って話をしながら帰ったんだけど、あぁそうか、YAPCにいる人たちは僕にとっては同業界として仲間になりえる人たち、KMDの同期にとっては異業界の人たちなんだよなぁ、なんて思う不思議な感覚に。ただ、仲間と言ってもYAPCに参加してる99%の人たちは知らない人たちで、もしかしたら僕のことを数%の人は知ってくれてるかもしれないけど、そうじゃなくて「僕が」この会場にいる全員のことを知ってたら、それはすごい財産だよなぁ、それを解決する方法はないものかなぁ、なんて考えてた。ほとんどのイベントでそんなことを考えたことはないわけで、そんなことを考えたくなるYAPCって素敵だなって思いました。

っていうかKMD同期の人たちには、主催のyusukebe氏の本には「哲学」って言葉が書いてあって、それは彼がSFCにいる時に奥出先生からデザイン思考を学んでたからなんだよって言えば一発だったわ。マジ失敗した。

電車

東大開催の時は、電車に乗ったら目の前に宮川さんがいらっしゃって、始めてご挨拶できた。
去年は日吉の駅で、hiboma、つまりペパボのひろやんご一行にばったり会った。
今年は日吉の駅で、はてなの大西さんにお会いした。

まだ会場よりも、電車運の方がついてる。来年は誰と会えるかな。

今年は、あとpyconとPHP conferenceには行くよん。PHP conferenceは、BASEとしてスポンサーにも申し込みさせてもらいました。来年は他の言語系イベントにもスポンサードして人材採用アピールできるように、いろいろ頑張りますよ!

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