岩瀬さんのお話のお話。
入社2日目の明日から試して欲しいこと|ライフネット生命 社長兼COO 岩瀬大輔のブログ
新入社員が朝30分早く来て新聞を読むのはハックとしては割とおすすめ
けんすうさん打算的過ぎてワロタ、とか思ってたけど、ふと思い起こすと、自分が新卒から3年以内って、会社にパソコンできますアピールを社内ですごくやってたわ。
当時、新卒で入社した会社は、工場の生産設備に使われる製造装置の製造業。当時は一部上場企業の子会社。お客さんは電気メーカーとか自動車メーカーとか国内海外関係なく。
大卒、院卒も製造現場で修行し、大体3年で設計に行くのがパターン。これはものづくりができないのに設計をやらせるとロクなことがなかったという過去の経験からそうなったそうだ。配属初日から板金の仕事。鉄の板を切ったり曲げたり溶接したり。いきなり油まみれの仕事で、大卒、院卒でぬくぬく育ってきた人は、とりあえず面を喰らうわけです。
入社後、半年しないぐらいうちに、丁度、僕が配属されていた板金の部署にCAD/CAMが製造現場にも導入された。設計部門では10年ぐらい前から図面管理システムはあったが、製造現場向けにははじめての取り組み。図面管理、製造情報に連動して生産設備が動くようになった。小笠原さんというか、DMMがやってる3Dプリンターの製造現場みたいなものだと思ってください。
当然、現場で働く人達はパソコンなど触ることなくベテランになってるのだけど、ちょっと変わり者の上司が、強引にCAD/CAMの推進を推し進めたらしい。
僕らにとっては格好のおもちゃができた状態で、僕は独学でVisualBasicを勉強し、図面データを作るツールを作っていた。
なんだVBかよって言われると思うだろうが、GUIのプログラミングが初めて、当時買ったVBは4。ボーナスで自腹で買って、自腹でCD-ROMの教材を買って勉強を始めた。
最初に導入されたのは自動で鉄に穴を開けたり切ったりする生産装置。DXFってCADデータを入力すると、機械が勝手に穴を開けてくれる。それまで手でやっていた作業が機械で自動化された。その後、CAMというものが導入され、図面情報を元にプラモデルのように板を切る最適配置を行ってくれるようになって、図面管理で遊ぶ余地はなくなり、「オペレーター」が作業をするようになって、多分、彼らはものづくり感を味わえなくなったので、僕は本当にラッキーなタイミングで入社したと思った。
そんな油まみれの仕事場に自分のPCを持ち込んで遊んでいた。
その上司は変わり者で、若干周りからウザがられるようなタイプだったが、仕事に対する熱意は高く、姿勢はリスペクトできて面白い人だった。彼がいなかったらCAD/CAMが現場に導入されることはなかった可能性が高い。
おそらく、その上司が、僕と、先輩だったIさんのことを会社にプッシュしてくれたんだと思う。
また、当時の社長からも、ちょいちょいパソコンのことについて声をかけていただくなどしていただいていて、今思いおこすと恥ずかしいのだけど、結婚式での自己紹介は、完全に会社に向けて「僕パソコンできるので、そういう仕事をさせてください」アピールだった。一応、「ネット婚」のハシリみたいなものだったから、そこはアピールしとかないとね。
ある日、突然、新製品の開発プロジェクトというのが立ち上がった。
そこは上司1,開発2人の部署。
上司は当時は顧客案件のコアに関わってないO課長(当時)、ライン上は1人課長だったと思う。
開発はなんと現場から抜擢され、一度も設計仕事をやったことがない、僕とI先輩。I先輩はそろそろ設計に上がるタイミングだったが、僕は他の人より1年半少ないタイミングでの設計への異動。I先輩がいてくれたからオマケだったとも言えます。
今、思い越せば、メインの開発部ラインからは外れている、ドラマ相棒みたいな世界がそこにあったわけです。
そもそも会社に対してもパトレイバーの特車二課のようなイメージを持っていたのだが、さらに「傍流」って言うんですかね。岩瀬さんのご経験は多分、光の国でのご経験だと思うのですが、僕は闇の国からのボトムアップ型アプローチですね。
でも、そんなところにも光はあって、後から聞いたところ、僕を抜擢してくれたのは、当時の社長の独断なのだと。
本当ありがたかったです。定年直前の方だったのですが、その後の社長だったらありえなかった気がする。
新製品開発は、時代の要請に対する、まったく新しい製品性能の実現と付加価値の向上。僕は制御系、電気系なので付加価値の向上を主に担当する仕事でした。
当初は、VisualBasicを自腹で買っていた青年が、晴れて会社の金でVisual Studio(MSDN)を買ってもらえる立場になったわけです。
製品は無事に完成し、その後も継続的成長をしているようだ。もうやめてから13年になる。
その後、僕は新卒当時に行く道が見つからず選べなかったネットワーク系の仕事、つまりWeb業界に転職した。あそこでの抜擢がなかったら、今、ここにいるかだいぶ怪しい。新製品開発をしてるうちに会社のコアコンピタンスはあくまでも機械設計であって、電気系、制御系ではないことに気がついてしまって、だったらもっと主役になれそうなWebがいいなって思ったのが転職のきっかけです。でも仕事は楽しかったので、自分が行く先に製造業との接点があったらいいなーと思ってます。Makersブームはチャンスなんでしょうね。
当時の上司だったO課長は、その後、設計部門のエライ人になった。つまり出世されたそうだ。その後、この会社、親会社に併合されてしまったので、取締役ではないのかな。
岩瀬さんの話に戻すと、単純に、新人さんが新人として評価されるだけなら、30分早く来る必要はないです。
ちゃんと仕事の中であなたの成果や今後の期待は上司が把握できます。最初から重い仕事が与えられるわけではない(使い捨て系のブラックな会社じゃなければ)ので、あなたの成長曲線にあわせて仕事が与えられ、あなた自身のポテンシャルと成長が伴えば、自然に成長することは可能でしょう。
これを「連続的な成長」と定義づけるなら、岩瀬さんがおっしゃってることは、
「非連続的な成長機会を得るための取り組み」
ではないかと思うわけです。
つまり、例えば、あなたが2年目、3年目の時に会社が少し傾いてきた。自社製品やサービスが時代にマッチしなくなってきた。そういう時の挽回策に「誰が抜擢されるのか!?」という輪に入る、社内でのレースに参加するためには、「今までの延長」ではダメな時があります。
そもそも、そこでコアメンバーがその役割に足る人材かどうかはわからない。
今ある仕事を頑張ってこなしてることが、本質的に評価されるかはわかりません。商品性がすごくよくて、利益率が高い商品を売っている人たちは、商品性に守られて成長機会を逸してるかもしれない。
会社員は、常にそこに対する危機感は持つべきなのです。ランバ・ラルがアムロに言ったアレですよ。アレ。(全然新卒向けに書いてないw)
そうではなくて、ある日突然やってくる非連続な進化を会社がしなくてはいけない時に向けてアップしておく。そこで、こっそりアップするだけではダメです。
決断し、責任を取るのはあなたではなく上司だからです。だから「あいつならやってくれるかな」って、一部の責任を共有し、期待されるためのアピールは欠かさない。それがサラリーマンの生き方だと思う。
岩瀬さんがおっしゃってることって、そういうことではないのかなってのを、僕の拡大解釈も含めて、自分の話を書いてみました。
まぁ新人さんに向けてメッセージってのは、まぁ大体、自分はこうやってきて今があるんですよ、という自慢に他ならないのですが、そういえば、当時の僕は評価経済的にも、すごくラッキーだったなぁと思うので、僕も自慢してみました。
新人さんへのアドバイスとしては、人それぞれいろんな成長のあり方があると思うし、新卒を受け入れる上司はそれを実現してあげるのが仕事なので、少しウザい上司でも信じて今は与えられた仕事をちゃんとこなせるように頑張ってください!!!
(ただしブラック企業を除く。ブラックの判断はシロウトには難しいです。)