small IAとbig IAで思うこと。

以下、bigIA、small IAについて書きたいことを書きなぐる文章です。かいつまんで、エンジニアtypeの連載などに再利用するかもしれないアルファ版の扱いとして置いておきます。

(酔いさましがてら書いてたら、文章、書きすぎてまとまらなくなったので、整理する部分を放棄して公開します。そこに対してはノークレームでお願いします。僕が見ても長すぎるので、興味を持った人の中で、さらに、お付き合いいただける感心がある方だけお読みください。)

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WebはHTMLや画像を活用し「画面を配信して、情報を伝えよう」から始まり「画面を配信して、ビジネスをしよう!」としようとするメディアです。
ここには「画面を作る」という作業と「ビジネスをする」という目的の2つの要素が存在しています。

Webの設計をしていくと必ず躓くのが、「適切な画面設計」「適切な文言設計」ってどうやるの!?「そもそもどういう人がWebを設計するの!?忙しくてつかまらない経営者!?進行管理のディレクター!?ビジュアルスキルが強いデザイナー!?それとも!?」という話が出てきます。不適切な人にやらせてみたら、全然うまくいかなくって、この問題に立ち返ってくることも多々あるでしょう。

それは大規模なコーポレートサイトでも、そうだし、これから初めてECを始めようとしてカラーミーショップやBASEを契約した人たちでも必ずこのことにぶつかっているハズです。意識できてるかどうかは別として。

前者であれば、サイト構造から始まり、沢山の部署がある中での情報の配置やプライオリティの設定や文章の表現
後者であれば、商品の設計、見せ方、説明文章、写真のサイズや写真の取り方、云々。

このブログを書く時だって、少なからず人に見てもらえるためにはどうすればよいか vs 僕が言いたいことを全部書きたい(けど長い) という情報表現に対する取捨選択はそれなりにしながら書いています。(で、僕は後者を優先していますが。アルファブロガーの人は両立できる人ですね。)

そういう議論が、昔からさまざまな現場で行われており、そこで生まれてきたのが、「Information Architecture」・・・つまり情報をちゃんと設計する仕事を明文化して、適切な人材をアサイン/教育できるようにしよう!というものだったと僕は思っています。

そこでIAについて考え合うイベントなどが始まって、ん!?でも何か咬み合わないな!?となったのでしょう。

そこで、Small IA、Big IAという言葉がでてきたようです。

ヤスヒサさんのページから引用すると、

Big IA
広義としての IA 。映画監督やオーケストラの指揮者のような存在で、製品やサービスのビジョンを形にする役割。

Small IA
狭義としてのIA。プロジェクトに関わる人々が理解できるようにビジョンの詳細を設計し、具体化していく役割。

参考:Big IA と Small IA の間で : could

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Webを如何にうまく作るか!?という議論をする時に、

「情報の整理が必要だよね」
「みんなに使いやすい配置が必要だよね」
「ビジネスに効率的なプロセスってあるよね」
「Web自体が心地よい体験にしていく必要があるよね」
「なんかそれって組織の話とか重要じゃね!?ウチじゃ組織の壁でできないしさ、それ」

と一担当者の高い意識だけでは、どうしようもできないような根本的な問題にまで意識が寄っていくにつれ、そうは言ってもプリミティブなところで必要になる技術論との粒度がずれてきたのではないかと思います。

僕も、コンセントの長谷川さんが毎年やられていたIA Summitという海外のイベントの報告会というのを、当時の代々木のオフィスにお邪魔して聞いていた時に、突然、「Big IA」、「Small IA」という話が出てきたのを覚えています。

でも、話をちらっと聴いてみて自然なイメージでした。というのも、

「画面を配信して、ビジネスをしよう!」

という、シンプルなWebの考え方に対して、「画面をいかに作るか」という視点から考えればSmall IA、「ビジネスをしよう!」から考えればBig IAになるのは当然だからです。

成果物は、どっちからたどってもWebサイトやスマホアプリであることは変わりません。

User Experienceの議論においても、緻密な画面設計の成果からもたらされる部分もあれば、いわゆる「キャンペーン、施策」の結果もたらされる部分もあります。もちろん、一発芸的な企画の面白さもあれば、リアルなビジネスをオンラインにつなぐだけで、すごいメリットがもたらされるケースもあります。

UXの議論が決してひとつに収束しない理由は、前提条件が人や会社によって違うからに他なりません。「そのWebを作るために、そもそもIAへの配慮が不可欠だ」というケースもあれば、改善サイクルの中で「他社との差別化のために必要だ」というケースもあります。

昔モバイルコマースの人のセミナーで面白いことを言ってのは、「うちは、授業が終わった15:40ぐらいに、女子高生に向けてメルマガ一発打つだけで、モノが売れる」ということでした。彼らは携帯コマースなので、PCのようなサイトストラクチャーなどとは全く無縁でお金が儲かると言っていました。わかってやってて面白いなぁと思ったわけです。

でも、それだって、女子高生からするとコミュニケーションのネタになるアイテムが買えるからこそお金を出していたのでしょう。
一画面商売で、優れたUXを実現しているとも言えます。そして何よりボロい商売(w

が、そうは言っても商品性もさることながら、1つの画面に圧縮陳列のように情報をつめこみ、購入ボタンをクリックさせるための情報設計はそこに存在しているわけです。何もエレガントに情報を配置することだけが情報設計ではありません。

まぁ今、そのモバイルコマースのビジネスが存続できているかは知りません。多分にスパム的手法でもあると思いますのでプラットフォームの変化で生き残れてない可能性を感じます。が、そういう人たちはそういう人たちなりに、また別の素敵なUXを実践されていることでしょう。

ただ、それと、それこそ大量の細かい商品を抱えているような大企業のサイトの情報設計をどうこなすか、というのとは「同じWebサイトを作る」という話でも、深堀りしていくと、やっぱり配慮するスキルは違いますよね。また、既にブランドが確立されている企業がWebという表現力に乏しいメディアで表現をする時に必要な要素で配慮すべきバランス感覚もまた違いますよね。

それを一担当者レベルに落としたら、そもそも自分がやりたいこと、好きなことって何!?という話になるべきなのです。

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■Webサービス企業の構造
Webサービス企業のメリットは「継続的な改善が許容されている」ということに他ならないと思います。

もし、そのサービスが醸し出すUXの質が低ければ「何も起きません」
施策の質が悪ければ「何も起きない」です。ただHTMLがそこに存在してるだけです。

だからこそ毎日、サービスを向上させるように頑張ります。そこで起きている本質は、「毎日の失敗」と「毎日の成功」の積み重ねです。

経営的な視点で言えば、毎月の収入に対して、毎月、人件費(固定費)を使いながら、サービスの改善をしつつ、ユーザ数や満足度、売上向上のチャレンジをしているわけです。グロースハックなどはその1つの手段に言葉をつけたものです。

毎月の収入を原資として、人件費をかけてサイトやサービスを改善していくと、売上も上がって利益もあがります。
というか利益が上がらないと人を雇い続けられません。つまりビジネスモデルそのものです。

Webサービス企業の収益源となるストックの指標は「ユーザ数」や「アクセス数」になるわけです。

「サイトを作る」という行為が、その会社のビジネスの原価として支えるという構造になるわけです。だから、サイト構造に手を入れるという「継続的な改善」が日々の活動として許容されているわけです。

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■Webコンサルティング、受託型
受託の場合は、もう少し、「Webを作る」という一発芸に対する重要度が高くなります。

というのは、請け負う側の会社は、おそらく一社の顧客に依存するのはビジネスのリスク管理的に望ましい状態ではないし、頼む側の会社も、おそらくWebがメインのビジネスではないので、初期投資の部分で毎月、会社を囲い込むのは望ましい状態ではない。

請負型のビジネスモデルは、たいてい人月ビジネスになります(※1)

人月ビジネスはビジネスモデル上、過小責任的に表現すると、責任分界点としてはビジネスの成果に責任を持てません。何故なら、人月で売上(お客さんからするとコスト)をfixさせちゃってるからです。あくまでも先行した投資ですね。結果として収益が上がらなければお客さんは、その分のコストが丸々、「大きな経費」になるし、超絶儲かれば「低い原価で高い利益」という結果になります。前者は痛いと思うし、後者はラッキーです。

つまり発注主はそういう賭けをしているわけで、その賭けに勝つためには「よりよいWebを作る」か、「いかに安く作るか」という2つの方向にリスク管理のバイアスがかかります。

結果としては、Web受託ビジネスは二極化します。過小責任サイドに落ちると、単価下落に苦しんだり、顧客関係性の悪化に苦しんだりします。お金が儲からない、リスクが高く、手離れも悪い、リピートも来ない、という3重苦が最悪のパターンです。ディレクターが10個も20個も案件を持ってるような会社は、そういう構造に落ちがちです。20個も案件持ってたら実質捧げられる時間は1人日ですよ。それがどれだけ無茶かはわかるハズ。

それに対して、過剰責任サイドに持っていけるならば、サービスのクオリティ向上が期待できる人に仕事が集中するか、だと思います。

受託における日々の活動の結果におけるストックは、「顧客との信頼」です。
そういう視点で、yuuさんとか坂本さんの記事を読むと、彼らがプロフェッショナルとして何を意識しているかがわかります。
受託は、お客さんに「この会社に頼んでラッキーだった」と思わせなければ負けなわけですね。

参考:
僕は生涯Small IAでいい – ネコメシCEOブログ
small IA manifesto | bookslope blog

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■Webは誰でも作れる、作れるからこそ変わった受託の構造

ここ10年ぐらいblogを書いていて、Webのことについて書いてきましたが明確に変わったのは、そもそも自分がwebの受託の企業からサービス側に移ったということです。それは僕の興味が「継続的改善」のプロセスを回すことに移ったからなのですが、ペパボに行ってカラーミーショップに携わって、そこでお客さんのビジネスを支援する立場に周ってみて、つくづく思うのは、

・Webの受託に会社に仕事をお願いできる会社さんは、少なからず、お金持ちだ。

ということです。

つまりWebの受託は、

・Web全体からすると大なり小なりハイエンドユーザー向けの商売なんです。

だから、

・その人達の要求に答えられるWebの作り手しか生き残れない

ということです。

「ただ漠然とHTMLを書ける」ことでビジネスになる自体はとっくに終わっているわけですから、制作という視点で言うと、よりよい「HTMLの群」で「何かを解決する」ことが仕事になるわけですが、お金がなければ、IAだのUXという言葉を知る前に、みんな自分たちで作るんですよ。

そもそもカラーミーなどのASPサービスは、誰でもできますってことを売りにしているわけですし、BASEなんてもっとシンプルですしね。
それに対してWeb制作の専門家にお願いするからには、相応の理由があるわけで、その期待に答えられないとハズレなんですね。(※2)

そこでSmall IA、Big IAの話につながるわけですが、Big IAは、僕は事業責任者に近い意識であり、Small IAはWeb制作のプロフェッショナルの視点だと思っています。Webは誰でも作れるからこそ、どこを切り口として、自分たちの仕事をより高みに昇華させられるか!?という部分の切り口の違いだと思っています。

だから、あなたはどっちのプロになりたいですか!?という話だと思っています。

※1
人月と書くとSIerさんの多重請負などのネガティブな話になりがちですがが、僕は人月という仕組みが悪いのではなく、高い人月では売れなくて、ヒトも育てられないというブラック的な利益率の問題が諸悪の根源だと思っているので、それ自体は全然悪いものだと思っていません。「デキル人」のポジショントークとしては、できない人と平滑化されたビジネスって不平等じゃね!?と思ってるかもしれませんが、「できる人とできない人」の見極めが付かない段階で、どうやって君たちを売るんだよ、という部分における「保険」としての多重請負、搾取構造が存在しうると思うんですが、それはさておき、人月で人売りが平滑化されてるからこそ、全体の収益配分が適切にできるのならば、今、できてない人が育つ機会も得られるわけです。問題はそうじゃなくて、「できる人に配分できない」「できない人にも配分できない」ということなのではないかと思います。対策としては、セルフブランディングをして推しメンにでもなって、そこきっかけで仕事がいただければいいんでしょうが、残念ながら、人一人に求められる範囲では収まらない話だと思うので、もっと個を認めてくれる小さなWebサービス企業などに転職されているのが現状ですよね。でも、それこそが「安定収益構造」から脱皮して、自分の腕で生きてくということなので、全然問題無いと思います。どんどんやりましょう。

あ、あと、レベニューシェアはリスクが高すぎるので、相当信頼できる相手とじゃないとできないです。それと聞いた話で資本関係でもない相手とレベニューシェアをするのは継続性に問題があるとは聞きました。これもまたBig IAとSmall IAにおける責任分界点の話に近いのですが、つまり「その儲けは何からもたらされているのか!?」という部分ですね。ここは奥深いので説明しません。ただ給与が上がらない会社は往々にして、人の重要性よりもビジネスモデルの方が優れているケースだと言うことは軽く添えておきます。

*2
もちろんカラーミーでも制作のプロに頼んでいるケースもある。それも大なり小なりハイエンドのユーザーである意識は持つべきだと思っています。5万でも10万でも、やっぱり人件費は他の支出に比べて決して安くはないです。
あと、運用は別にいいんです。前提として儲かるビジネスが確立してる中でのお手伝いのハズなので。(赤字だったら即座に切られる立場である可能性が高いわけで。)

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